久々の視聴。やはりこれはクライムサスペンスの超一級の傑作だと思います。
非常に重苦しいサスペンスであり、同じデニス・レヘイン原作の「ミスティック・リバー」に通じるところがあります。画面の色調や音楽も暗くて陰鬱。エド・ハリス、モーガン・フリーマンといった重鎮もまた重厚感を際立たせています。
少女の失踪が物語の起点となりますが、二転三転して最後にたどり着く真相は意外なものでした。しかし、ここでハッピーエンドとならないところに本作最大の裏切りがあるのです。
事件の解決が当事者の幸せをもたらすとは限らない。家族にとって血縁が大事とは限らない。ラストでの、主人公が自分の判断が正しかったのかと思い佇む姿を見て、私たちもこの事件の「正解」はなんなのか、思い悩むのです。本作の最大の美点は、この余韻にほかなりません。
BS松竹東急「よる8銀座シネマ」にて。