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稲妻の犬のレビュー・感想・評価

稲妻(1952年製作の映画)
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高峰秀子が意気消沈して心ここに在らずのときに向こうの空で稲光り(この瞬間が無条件に良い)してからの台詞と動線のリズム感が良すぎる。まず「今日泊まっちゃえば?」に対してノータイムで「帰る」って返す浦辺粂子を皮切りに、一階へ降りて卓上の人形に関心を持った浦辺粂子に「母ちゃん」と釘を打つ高峰秀子。そして、外に出て離れた二人の距離が落ちていた瓶の蓋を拾うことで自然の縮まり横並びで帰路に就く。複雑な家庭環境と露悪的な男性性に嫌気が差した高峰秀子が自立を図って新たな出会いや心情を吐露する終盤には描かなくとも明るい兆しが見える。
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