稲妻の作品情報・感想・評価

「稲妻」に投稿された感想・評価

あちゃ

あちゃの感想・評価

4.8
高峰秀子のアナウンスがオフから響き、素晴らしい感覚で撮られたスクリーンプロセスのはとバスに繋がる。ピアノの音も同様。
芝居に関していえば、うちわのあおぎ加減で感情を表してる。
おめかけの女の家の橋がその男凶暴につきのように不気味だったり、バーの椅子が逆さなのも怖い。処刑台かのような照明がちらほら、カーペンター やホークスのようにスタンダードサイズの収まった二人組のショットで終わる。
男共は勝手だし女は。もうあまり見たくないと思うくらい良い作品だと思います
成瀬作品に出てくるキャラクターは時折エゴ剥き出しでしかも自堕落だから愛おしい。小津のように綺麗事で済ます感じがしない点が私が成瀬ファンである一番の理由なのかも。女優陣も気品があるというよりは自由奔放で気まぐれな印象が強く、このような一般庶民を温かく見守る映画に不思議とシンパシーを抱いてしまう。古き良き邦画の名作。
三四郎

三四郎の感想・評価

3.8
救いがある!救いが!
松竹の『稲妻』よりキャストも美人が揃っていて、湿っぽくなり過ぎず、光明が見えて実に良い!前半は「やるせなきおはやっぱ嫌だなぁ…」と思って我慢して見ていたが、デコちゃんが世田谷に引っ越してから素晴らしく良くなった!これはただ私が後半のような「幸せ」と「温かさ」の「愛ある話」が好きだからなのだが、前半があまりに湿っぽく、教養のない人たち、世間のしがらみの中で生きている人たちと一緒に居ると、白いものまで黒ずんできちゃうんだな…とつぐつぐ思わされるような展開だったから余計に後半からラストシーンにかけて「救いがある!」と思えた。
東京の下町に比べ、世田谷の緑濃きなかの清らかな人々とのふれあいが、この映画の一番の救いであり、ヒロインにとっての大いなる救いでもある。瀧花久子の長い蕎麦それほど美味しくはなかったんだろうな笑下町育ちの江戸っ子にとっちゃ笑
死んだ旦那も言い出せなかったんだろう笑 ここの人々は皆人がよく優しいから。「主人はね、わたしの打った蕎麦が大好きだったんですよ。機械のとは別の味があると申しまして」
好きなシーンは兄妹がデコちゃんに「綺麗な目をしてる」と話すところ。
「育ててもらわなくたって良かったわ、産んでもらはなくたって‥」

思っていても言っちゃいけない、タブーな台詞ランキング上位をサラッと自然に言い放つ。超家庭環境複雑ながらも、拗ねず曲がらず、美しい日常を求めてカラッと明るい清子に救われるし、この役柄だからこそ許されるセリフである。

「育ててもらったんだから」世間様が口癖の様に放つこの台詞を足蹴にし、強い姿勢でしなやかに家族と向き合う姿に励まされる。
又、泣いて喧嘩しても次の瞬間には笑い合えるのは親と子の独特の空気感だよなと感じた。

人間的に気持ち悪い人が沢山出てきて、人間くささが凄くジメジメしそうな話だが、美しいクラシックの調べと高峰秀子がそれを見事に打ち消す。
凛とさせたら高峰秀子の右に出る者無し。
ネット

ネットの感想・評価

3.5
成瀬の映画というのはいつも妙に生々しい印象がある。市井の人々、噂話、愚痴に悪口。小津に比べて世俗的なだけあって、人々のやや野生的な動きが映える。ブドウの皮投げとか猫の扱いとかふざけ合いとか。
ラストの二人の歩行も好き。あのだらりとした歩き方がたまらない。

うちわってこれほどまでに魅力的なアイテムだったのか、と見入ってしまった。
いずみ

いずみの感想・評価

4.0
劇伴いいな…と思ったら斎藤一郎のオリジナルだった。腹違いの兄弟設定とか複雑すぎ。
人間描写のエグ味がありつつ、ラストの懐の深さや作品で描かれている物語以上の広がりを感じさせるあたりは流石。
個人的には成瀬の中でも男女の情愛を描いた作品以外では『流れる』が到達点だと思ってるが、その途上の傑作。
稲妻のシークエンスは至高。それにしても葡萄投げすぎだろう笑
成瀬の大映は初めて観たが、根上淳がいて良かった
話は大好きな男女の情愛メインのものに比してはそこまとグッと来ず入ってこなかった
kana

kanaの感想・評価

4.0
2018.06.21
一度みた作品だった。
女のみにくさ!女の弱さ!女の美しさ!

家を飛び出し自立生活をはじめた清子と、その隣のお家の兄妹のこのシーンが好き↓

綺麗な目してらっしゃるから。
妹が言ったんです。
のところ、
東京の方だって。だから言っただろ言葉の歯切れがいいって。
それはあたしよ。お兄様が、目が綺麗でいらっしゃるから、高い山の麓の、水の綺麗な場所だって。

お母さんがやってきて、清子と号泣するシーンも印象的。
お母ちゃんの涙。ひとりひとりお腹を痛めて産んだんだよ!!

遠くで、稲妻が光る。

最後の、
あのルビーの指輪、本物だって。
そうだよ。
お前のおとっちゃんは嘘なんかつけない人だったよ。
も良い。
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