稲妻の作品情報・感想・評価

「稲妻」に投稿された感想・評価

人間描写のエグ味がありつつ、ラストの懐の深さや作品で描かれている物語以上の広がりを感じさせるあたりは流石。
個人的には成瀬の中でも男女の情愛を描いた作品以外では『流れる』が到達点だと思ってるが、その途上の傑作。
稲妻のシークエンスは至高。それにしても葡萄投げすぎだろう笑
成瀬の大映は初めて観たが、根上淳がいて良かった
話は大好きな男女の情愛メインのものに比してはそこまとグッと来ず入ってこなかった
kana

kanaの感想・評価

4.0
2018.06.21
一度みた作品だった。
女のみにくさ!女の弱さ!女の美しさ!

家を飛び出し自立生活をはじめた清子と、その隣のお家の兄妹のこのシーンが好き↓

綺麗な目してらっしゃるから。
妹が言ったんです。
のところ、
東京の方だって。だから言っただろ言葉の歯切れがいいって。
それはあたしよ。お兄様が、目が綺麗でいらっしゃるから、高い山の麓の、水の綺麗な場所だって。

お母さんがやってきて、清子と号泣するシーンも印象的。
お母ちゃんの涙。ひとりひとりお腹を痛めて産んだんだよ!!

遠くで、稲妻が光る。

最後の、
あのルビーの指輪、本物だって。
そうだよ。
お前のおとっちゃんは嘘なんかつけない人だったよ。
も良い。
4人兄弟全員父親が違うという離散的な家族の中で気高く生きる、はとバスガイドの高峰秀子。ふどうの皮を時にオーバースロー、時にサイドスローで変幻自在に投げ捨てる姿が忘れ難い。タイトルにもなっている落雷がビルドしていたテンションを一気に融解させる契機となるのが鮮やか。

2017/12/19 神保町シアター
しきぶ

しきぶの感想・評価

3.7
実の娘がいないのに、その夫が実家に居座り混んでるのが面白い。成瀬映画の登場人物はみんな嫌らしいけど、なぜか見捨てきれない人間味にあふれてる。
死んだ夫の浮気相手のところに行くシーンが白眉。めちゃくちゃ強気で笑ったし、去り際、二階からそっとのぞいてるのにぞっとした。
ラスト娘が産まないでほしかったって最低な言葉を母親に言うし、母親も産みたくて産んだわけじゃないって反論するどん底みたいな会話シーンがあるけど、そのあと稲妻を見てケロッとするのがスゴい。
母親と種違いの三姉妹+南方帰りの長男という家庭に
やり手の男が介入することで、家族は次々に金銭的に懐柔され
男女の関係もずるずるべったりの状態に落ち込んでいく。
潔癖な末娘はこの状況に嫌気がさして家出。
二階に下宿する女学生、次女の亡夫の妾、二人の娘と孫娘を持つという
下宿先のおばさんなど様々な女の生が紡がれていく。
ラストのシークエンスがとにかく秀逸。
どうしようもない苛立ちから母親と自らの人生を全否定する娘。
「産んで欲しくなかった!」なんてこと言っちゃう。
いちばんいい子だと思っていた末娘の叛逆に衝撃を受ける母親。
喧嘩のあげくに泣きだす親子。
そこで(理想的な兄妹の住む)隣の家から聴こえてくるピアノの音。
すっと立ち上がり電灯をつける娘。
空に向き合うような形で光るふたつの稲妻。
緊張のピークからふっと我に返る瞬間。
会話に頼らず音と動きで人間心理をサスペンスフルに表現する
後のデ・シーカ映画にも通じるような鮮やかな演出。
女性の描写にかけて右に出る者のない成瀬の面目躍如である。
泣ける。
成瀬巳喜男監督作品、主演は高峰秀子

母とそれぞれ父親の違う長姉、次姉、兄と、それに絡む人々との人間模様、人間関係に嫌気がさす末っ子を主人公としたドラマ

久しぶりに成瀬作品みました、うん、いつもながらの作風、ドロドロとした嫌なものを描きますね
どうしてもこうしてもそうなってしまったものは仕方ないっていう諦め、受け身感、浦辺粂子演じる母親が印象的
子供たちのように好きに振る舞えるわけでもなく、末っ子のように飛び出すこともできない、愚痴るぐらいしか出来ない母親を好演

特にお話に収拾をつけるわけでもなく、ハッピーエンドとも言えない終わりかたではあるけど、悪くない終わりかた

お互い泣いて感情を出し切ったら少しすっきりしたみたいな、何だかんだ言ってもやっぱり母と娘なのは変わらないみたいな、良かったです
なすび

なすびの感想・評価

5.0
よきかな。高峰秀子いつ見ても愛すべきキャラ、長ーいお蕎麦をなかなか取れないところかわいい。お蕎麦食べたくなった、そろそろ夏が恋しいな。

女同士の涙そんなものよね、泣きたいだけ泣いてスッキリして「あー泣いたらスッキリしちゃった」って「もう帰るわ」って。そんなもんそんなもん

前半ドロドロしてるのに後半主人公が一歩外に踏み出したら爽やかな兄妹に出会って最高、お兄さん見るからにイケメンで眼福

「男ってほんとにヤダ、獣みたい」ってぷんぷく膨れてる高峰秀子の妹感ハマる、こんなにちゃきちゃきした女性になりたかったなあ。私は断然未亡人お姉さん側かな。

相変わらずいや〜な女とかイヤらしい男の描き方が上手いね、いい人間ばかりじゃあないもんね。。。
母親(浦辺粂子)の4人(1男3女)はいずれも父親が違う設定で、清子(高峰秀子)はその末っ子だが一番しっかりしている。
複雑な人間関係の中心にいるのが小澤栄であるが、清子は凛とした態度で観ていて気持ち良い。また、世田谷に引っ越した近所の兄妹の香川京子も感じ良し。

「渋谷で温泉旅館やってんのよ。あの『クラゲ印』の」というセリフ、「珍しい『電蓄』ね」という高峰のセリフ、道端に設置されている木製ごみ箱のような昭和の風景などが面白い。

余韻を残した佳作だと思う。
うわあ、、最高…。
ラスト、親子のシークエンス。堪らねえ!
「稲妻」ってそういうことか。霊妙。
語るべきことが多すぎるのに、何も語らずにいたくなる、それこそがいい映画なんだ、ということを思い知らせてくれる。
>|