mayama

デイブレイカーのmayamaのネタバレレビュー・内容・結末

デイブレイカー(2009年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

何回みても毎回ラストのゾンビパンデミックにしか見えない場面の阿鼻叫喚具合に驚愕しちゃう(笑)
これヴァンパイアものだよね・・・?と念押ししたくなる程の、人に群がり血を貪る人々の獣並の浅ましさったらもう。
しかもそんな肉片と血が飛び散るおぞましい場面をスローモーションでほの暗く美しくスタイリッシュに見せてくるんですよ・・・この場面の力の入り具合、何映画撮りたかったのかほんと気になる。

そしてまたクリスチャンベールとイーサンホークを間違えてました。なんか申し訳ない気持ち(何故か自分の中で印象が被ってる)。

取り敢えずウィレムデフォーが出てるって時点で私的には当たりです。どこでみかけても妙な存在感がたまりません(ちなみにウィレムデフォーとケヴィンベーコンもなんとなく印象が被る・・・。笑)。

人間とヴァンパイアの人口比が逆転し、人間は絶滅危惧種に、感染症によって増えすぎた夜の住人ヴァンパイアは食糧難となっている世界。
ヴァンパイアは血が足りないと変容して化物に変わり果ててしまうのですが、それが社会問題になってたり、ヴァンパイアとして永遠の命を得たことを幸いとしている人と、死を恐れる人間であろうとする人がいたり・・・価値観が二極化していて、弱点はたくさんあるものの、不死であることを絶対的な強者として享受する者、人間を搾取することに苦悩する者、様々です。そんな社会の善悪簡単に分けきれない混沌とした複雑さが魅力的な世界観。

日光を避けるためのスーツや外をカメラで映して運転する完全遮光の車や地下道が整備されていたり、細部まで割と設定細かい。
そのせいかこの世界線における人々の価値観やスタンスに最初の方だけで入り込めて理解できるのが凄いよね。

ヴァンパイアの世界は冷たいくすんだブルーの色調、人間の世界は陽光が最も力強い正午から夕暮れ時の明るく暖かみのあるオレンジの強い光を強調したほんのりノスタルジックな色調で対比して描かれてるのですが、映像が美しいのです。

兄と弟の確執はもう少し詳しく知りたかった気もしますが、たぶん、台詞から察すると、病で死にかけていた兄を助けたい一心で弟は兄をヴァンパイアにしてしまった?のかな?兄はどうやら人間をエサとして搾取し犠牲にしなければ生きられない存在にはなりたくなかった模様。なので、人工血液を研究しているみたいですね・・・。

弟さんも悪気はないし、むしろヴァンパイアとしての自分の生を享受して肯定してるので、兄を生かしてあげたのにって不満と蟠りがあり、兄とは価値観が決定的に合わない。
でもそんな弟も命令とはいえ、いやがる権力者の娘さんを無理やり人間からヴァンパイアにしたのはね・・・あれはちょっと強姦の比喩にも見えて、官能的といえなくもないけれど、きつかった。
弟が初めて自分のしたことを後悔する場面、グロテスクと言っていい化け物たちの処刑シーンなのに見送る弟さんが傷ついてるのがわかるんだよね・・・録り方が上手い上に映像美しいから見いっちゃう。

主人公たちは『ヴァンパイアに感染しても、治療して人間に戻れるよ』と言うヴァンパイアに変容することを病と考えその治療を進めたい派で、これからまた人間に世界を取り戻す、くらいのことを考えてそうなのですが。
そもそも食料問題さえ何とかなればヴァンパイアのほうがいいと思ってるひとも一定数はいそうな気がして、問題の根が深そう。
mayama

mayama