ユウサク

蛇の卵のユウサクのレビュー・感想・評価

蛇の卵(1977年製作の映画)
3.4
ギャン!!

オープンクレジットカッコよかったのに終盤に差しかかったあたりで思いっきりブラックフェイスのバンドが出てきてその人たちの演奏している曲だと気づいてめちゃくちゃ萎えた。こういうのちゃんと指摘・言及しような。「時代」で済ませて思考停止しないで。
ナチス台頭前夜のベルリン。恐慌による無気力がユダヤ排斥の機運を高める。マジで他人事じゃないんだよな、今の日本も。
冒頭からダイナミックで効果的なズームが出てきて、思わず全く意味を為してないホン・サンスのズームを思い出して笑ってしまう。「……俺がユダヤ人だからだろ」までの間とその後の逃げ場のなさが強調される逃走シーン、ラストのギョッとする空間演出など、わかりやすく目に面白い。馬の死体(本物ぽかった……)や劇場支配人への暴力、ゲイ男性(本人は否定)への性暴力、人体実験など嫌なシーンもてんこ盛りで人によってはキツいと思う。あの劇場には性的・身体的マイノリティの人もたくさん働いていて、そういう人たちも差別の対象であったことに触れておく意思は感じられた。ああいうパフォーマンスにおいて女装した男性はよく映画でも出てくると思うけど男装した女性もいるのはちゃんと対称になってて良かったと思う。
音の使い方はやはりラストの永遠に続くのかと思わせる扉バンバンが印象的。いわゆる劇伴ってあったかな?まあ音楽は少ければ少ないほどいい。

……ギャン!!
ユウサク

ユウサク