幽斎

烏 カラスの幽斎のレビュー・感想・評価

烏 カラス(2007年製作の映画)
3.6
「ヒッチコックの名作を凌ぐアニマルパニック」随分大きく出たね~私が誰か知っての狼藉かな。私の苦手なジャンルは動物と植物、知識は小学生以下。随分前に観た作品だが、鳥に詳しい友人の知恵を借りてレビュー。鳥=とり、烏=カラス、視力検査か?(笑)。

本作はアメリカのケーブル局Syfy製作のTVムービー。社会問題に為った牛海綿状脳症(狂牛病)をモチーフにしたアニマル・スリラー。多くの方が配信で引っ掛かったと思うが、日本に上陸したのは劇場では無く、レンタルのGEO。アメリカで放送されたのが2007年4月、同じ年の12月にリリース。配給元ジェネオンの親会社は老舗オーディオのパイオニア。元はレーザーディスク(親爺が集めてたなぁ)販売会社だが、印象の良くない中抜きの電通に譲渡。しかし、電通はパイオニアの資産をハリウッド・メジャー「ユニバーサル」に売却。ユニバーサルと言えばヒッチコック。本作は時を経て「鳥」の本家に里帰りした。

当時のジャケットには「カラスは眼を狙う」動物に不得手な私は速攻で騙されそう(笑)。アマプラ御用達のカナダReel One Entertainmentの手で配信作品にリプレース。日本もジャケットはUS版と同じデザインに変更、但しドアミラーに映る絵は異なる。円盤はDTS Dolby Digitalだが、配信は簡略化されてる。原題Kawについて友人が、カラスの鳴き声はアメリカではCAW、それを捩ったんじゃと。発音は「カー」なので、ソレかも。

Sheldon Wilson監督はレビュー済「呪われた家 The UNSPOKEN」なので、雰囲気だけなら悪くない。C級一直線の作品しか撮れないが「蛾人間モスマン」「シャーク・キラー」など、アニマルと縁が無い訳でも無い。ヒッチの「鳥」は人を襲う地獄絵図を闇雲に描くのではなく、スリラーの神様らしい人間描写の立体化、緻密に練られた緩急自在のスクリプトが、今も名作と言われる所以。アンサーが提示されない、スリラーの基本に徹する。

主演Sean Patrick Flaneryが異常に若いので、此処で旧作だと気付いた方も多いだろう。Rod Taylorは本家「鳥」に弁護士ミッチ・ブレナー役で出演。パニックよりも作風はスリラー寄りで、グロ描写に期待するのはテレビ映画なので初めから無理。それでも本物とVFXを掛け合わせた大量の「烏」の大群はTVムービーとしては健闘。この辺りの演出は今のアマプラやネットフリックスより出来は良い。

友人が言うには、烏と言うのは無暗に人を襲う低能では無いらしい。攻撃は足の鉤爪だが、疫病感染と言うプロットは、今の武漢ウイルスに通じるモノが有り、其処にリアリティも感じる。私が中学生の時に見たヒッチの「鳥」。同時に鷹や鷲などのラプター(猛禽類、ステルス戦闘機F-22の愛称)なら、もっと面白い映画が創れると思ったが、大人に成った今も未だに遭遇した事が無い。何となく答えは解ってるが、本作を観た時に一緒に考えて見ては如何だろう?。

「私の祖母はカラスは悪魔の目と言ってました」実質タダで見れるなら暇潰しに成るかも。
幽斎

幽斎