ROY

バード★シットのROYのレビュー・感想・評価

バード★シット(1970年製作の映画)
-
僕は鳥になって空を飛びたい
-やさしくも滑稽で、おかしくも悲しい、少年ブルースターの夢-

70年代ハリウッドルネッサンスの真只中、
アルトマンが辿りついた奇想天外な狂騒コメディ。

■INTRODUCTION
屋内野球場アストロドームで、背中に大きな傷跡を持つ女性が、一人の少年に空を飛ぶことを教える。そのころ、巷では奇妙な連続殺人事件が起こっていた。警察は、事件に少年が関わっていると見て彼を追うが……。

■STORY
鳥のように自由な飛翔を夢みて自分の肉体を鍛え、翼のある装置を作って空を飛ぶ準備を進める少年を主人公に、人間社会の常識と日常の愚かしさをことごとくパロディ化した作品。アメリカ南部、テキサス州ヒューストンに当時できたばかりの、最新設備と厳重な警備を誇る巨大なアストロドーム(屋内野球場)の地下に主人公がこっそり隠れ住むという設定、人類史上初めて空を飛んだアメリカの英雄=ライト兄弟の兄はクリスマス・キャロルのスクルージも真っ青な“守銭奴”と化して品位のない姿をさらし、警官は平気でカツアゲをする。カウンター・カルチャーの最先端を行くサンフランシスコからやって来たスタイリッシュでハードボイルドな刑事は姿形に似合わず間抜けなドジを踏まされ、女たちは貞操観念も乏しく裸になって少年に迫る……そして少年を窮地に追い込む男たちがことごとく殺され、死体にはデス・マークならぬバード★シット(…つまり鳥のフン)がいつもべったりと顔に張り付いて……。

■NOTES
アルトマン自身、1976年のプレイボーイ誌のインタビューで「この時期の一番のお気に入り」と応えている。

アメリカ批判を繰り返しながらも、アルトマンが愛した風景はすべてアメリカのものだった。憧れのアメリカ。正義の国。しかし鏡に映したアメリカは華やかな夢でも正義でもなく、ポカンと口を開けた、だだっ広い荒野だった。アルトマンはそこに夢を見た。(早稲田松竹HPより)

———————————————————————————

この作品と同じ1971年には寺山修司監督の『書を捨てよ町へ出よう』がある。これにも「人力飛行機で飛ぼうとする男」が登場し、『バード★シット』との共通に思いを馳せたが、しかし、寺山演出が「前衛演劇的」なのに比べ、アルトマンのそれは「B級映画的」でカラフルなおもちゃ箱をひっくり返したかのようなポップアートだった。

https://blog.goo.ne.jp/geeen70/e/0ae053ab473b843873b41e16c8c95c82

———————————————————————————

◯1971年といえば、アメリカは泥沼化したベトナム戦争の真っただ中、Jimi HendrixやJanis Joplin、Jim Morrisonらロック・スターがドラッグのオーバードースで相次いで命を落とし、ウッドストックをハイライトとしたヒッピー・フラワームーブメントも徐々に翳りを見せて行く。ハリウッドでは、ゴダールの『勝手にしやがれ』(59)に影響を受けた『俺たちに明日はない』(67)をはじめとして、『卒業』(67)、『ワイルド・バンチ』(69)、『イージー・ライダー』(69)、『明日に向かって撃て』(69)、『真夜中のカーボーイ』(69)、『いちご白書』(70)、『ファイブ・イージー・ピーセス』(70)、『ラスト・ショー』(71)といった当時のエスタブリッシュメントに反旗を翻す“アメリカン・ニュー・シネマ”といわれる一連の映画群が生まれた時代。ロバート・アルトマンの『バード★シット』は、そんな時代に作られた奇想天外なブラックユーモア満載のファルス(笑劇)である。

◯71年の公開時は、アメリカでも日本でもさっぱり受けなかったという本作には、アルトマンとは、『ギャンブラー』(72)への楽曲を提供しお互いの作品のファンであることを公言しているLeonard Cohenが、「『M★A★S★H』はそれほどでもないが、『バード★シット』はベストフィルムだ」とアルトマンに語った。

http://outsideintokyo.jp/j/review/robertaltman/index.html

■COMMENTS
『M★A★S★H』もそうだけどなんで星マークついてるんだろう。

バッド・コート・リスペクト🙏

シェリー・デュヴァルの変容っぷり

のっけからアメリカ国家斉唱で、マーチングバンドは全員黒人。

悲鳴をあげる鳥

イカロス

“THE GREATEST SHOW ON EARTH”
ROY

ROY