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シェラ・デ・コブレの幽霊のcometのレビュー・感想・評価

シェラ・デ・コブレの幽霊(1964年製作の映画)
4.0
膨らみに膨らんだ期待を裏切らない出来だったので感激。冒頭、都市と波のディゾルブからあっけにとられる。崖の上に立つ主人公(本業は建築家)の家(レトロフューチャー感。マットペインティングかな?)を海岸から臨むカットも不穏かつ美しい。霊廟に設置された自宅との直通電話(怖)、棺の蓋を開けたままにしてほしいという遺言(怖すぎ)、当初 正体不明な黒衣の人物が風景に説明なしに映り込むなど、奇妙な雰囲気に満ちている。幽霊の描写ばかり取り沙汰されるが、美術、撮影や音響などかなり面白い。壁に飾られた教会の絵と会話でしか語られることのない謎多き町シェラ・デ・コブレ… 登場人物の口から発せられるその町の名は官能的ですらある(マルホランド・ドライブでも同じことを感じた)。その町での出来事が物語の核心であるにもかかわらず、映像としての描写は皆無。あまりにも禍々しい幽霊が 否応なく想像をかきたてる。
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