『元祖中二監督の面目躍如』
【過去作レビュー】
WOWOW録画を減らすために「完全版」を初めて鑑賞。
<2029年、AIが反乱を起こし、人間は機械軍と戦っていた。カイル・リースをリーダーとする人間の抵抗軍への敗北を察知したAIは、カイルの誕生を阻むべく、その母親を抹殺するため暗殺マシンを1984年に送り込む・・・>
これ、ジェームス・キャメロンの実質監督第一作の「ターミネーター」です。脚本もキャメロン自身。どう考えても中二。中二SF映画マニアの発想以外の何物でもありません。これが1984年の作品。
で、本作は、1986年の作品ですが、監督のもうひとつの面も如実になりました。
実は、その前1985年にキャメロンが脚本を書いたのが「ランボー/怒りの脱出」。「ランボー」がベトナム帰還兵の悲哀を描いていたのに対して、二作目は兵器、武器出まくりの爆裂戦闘アクション。キャメロン監督、中二兵器・武器マニアでもありました。
なので、本作の宣伝コピーも「今度は戦争だ!」
(1作目の「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」とは大違い)
1作目の、エイリアン1vs人間Nに対して、兵器・武器を使ったエイリアンNvs人間Nの壮絶バトルが展開します。(原題はALIEN2ではなくALIENSという複数形)
今回鑑賞の「完全版」は主に、
①リプリーに娘がいたことがわかるシーン
②エイリアン惑星に移住してた人達の描写
③エイリアン撃退のためのトリップ設置
あたりが、追加された要素らしいですが、劇場版でさえ長尺なので、どれもカットされても仕方ないかなという印象です。
(①はたいして長くないのであってもよかったのでは。②はそのまま「アバター」に再現されてます。③は演出上そんなに効果的ではなかったかも)
あとはもう、宇宙船、飛行機、車、銃、パワーローダーなるモビルスーツ、そしてセット等など、キャメロン監督こだわりのデザイン描写&活躍のオンパレードです。ロン・コッブやシド・ミードがデザインとしてクレジットされていて夢の世界ですが、実はあくまでキャメロン監督がデザインもリードしたらしいです。元祖エイリアンをデザインしたギーガーは呼ばれてもいませんし。
CGのないこの時代、模型も実物大セットも、確かにあったものなので実在感がとても迫力あります。どんなに精緻なCGでもそこに確かにある感を出せないのはなぜなんだろう。
何もかも自分の好きで押し通した、元祖中二監督の面目躍如です。「ブルーサンダー」もやっちゃうし。
(それ以前のスピルバーグやルーカスは、中二というより、心は少年、でも所作は大人、という印象です)