浅野公喜

新マニアックの浅野公喜のレビュー・感想・評価

新マニアック(1984年製作の映画)
3.7
憧れの女優と映画を撮りたい監督志望の男が映画祭が開催されているカンヌまで飛ぶ80sスラッシャー。評価低いのであまり期待せずに観たんですがこれがなかなか面白かったです。

「マニアック」のジョー・スピネルとキャロライン・マンローが主演ということで安直に続編的邦題になっている今作、実際はストーリー等に繋がりは有りませんがジョー演じる主人公が妄想に悩まされている点は同じ。

残酷描写は「マニアック」に比べると大した事ありませんが首切断は数回用意されており、劇中上映されているお婆3が若者を襲い心臓を取り出して食べる映画はちょっと強烈で、主人公が現実と妄想の区別がつかなくなりストリッパーを襲ってしまったりスクリーンに映したキャロライン演じる女優の体をいやらしく触ったり変態度高めで電話越しで(ジョーの実の母が演じてる)母親にさも自分が売れっ子監督の如く演技する様が痛々しくも滑稽で笑えます。

女優の部屋に侵入したり警備員に扮して彼女を誘拐する等セレブでごった返すカンヌにあるまじきガバガバセキュリティでやりたい放題の末主人公が映画の撮影と人々に勘違いされたりある人物の登場で見方によっては一瞬大スターやヒーロー的存在になる展開も面白く、オチもベタながらユーモラスで楽しめました。

また、全編にわたって好きなキャロラインが登場するのも嬉しい所で会見が終わると波が引くようにサッーと消える記者達を見て「皆私の事好きなのかな?」「何で皆出て行くの?」と嘆く所は劇中では大スターの如く扱われてますがB級映画メインのキャリアを歩む事となったキャロラインの実像や本音が垣間見えるようで興味深いです。

84年製作と表記されてますがImdbでは82年となっており「007/ユア・アイズ・オンリー」のオブジェが見えることから1981年頃撮影したと思われます。80年代ながらまだ70年代の雰囲気も残るディスコやファッション、ヘアスタイルに明るいポップロックも人によっては魅力かなと。
浅野公喜

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