囚人13号

山椒大夫の囚人13号のネタバレレビュー・内容・結末

山椒大夫(1954年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

宇宙一美しい水面と墨汁で塗られた竹林の共存する、神の映画を前にして我々が漏らす感嘆の言辞はもはや何ら機能しない。至宝。


2023,6/1《大映映画祭》@シネマスコーレ
学校を午前中休んで10時から観に行く。冒頭における人攫いの巫女が登場する瞬間、女中が画面から外れて一人分空いた空間を埋めるように接近し、巧みに構図を保つ。また舟に乗せるため引っ張られていくシーンでは俯瞰から捉えられたショットのその画面設計で、手前にホラー映画のようなどす黒い枯れ木が配置されていた。佐渡からやって来たと言う新入りの言葉にハッとする香川京子でカットが変わりアップとなり、反復される兄妹で枝を折るという行為はドラマの急展開(悲劇)を誘発する。しかしスクリーンで鑑賞して一番感じたことは顔面の変貌、田中絹代の残酷な変わりようも去ることながら花柳喜章の大入道的、山椒大夫と瓜二つの顔から最後は紛れもなく父に似た顔立ちとなっていること。無論、入水自殺の四カット=俯瞰からのロング→香川京子の背後→祈る老婆→死を示唆する波紋 は言葉が追いつかない
囚人13号

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