RIO

山椒大夫のRIOのレビュー・感想・評価

山椒大夫(1954年製作の映画)
4.2
マーティン・スコセッシ監督が映画監督を目指す若者に
勧めた映画の中に「山椒大夫」があった

「生きるとは何か」人間の価値を改めて見る
美しく映し出される生きることの不条理

人身売買にあった安寿と厨子王
お互いを守り懸命に働く

まだ母親と一緒に居た頃、ススキの穂の中を歩く
斬新なモノクロのカメラワーク
これは悩殺的に美しい…
母親が別れてしまった子供達の名前を呼ぶ声が悲しい
虐げられる姿が生々しい

兄を逃がすために一人残る安寿
父親と同じ苦しい運命をたどる厨子王
生涯をかけて人を想う
偲んでいる姿が美しすぎる映像と胸に刻まれる

安寿と厨子王の幼い彼らが、どのように生きてきたのかを
考えるだけでも泣けてくる
自分の身にふりかからなければ他人の不幸には無関心になる
奴隷の過酷な毎日を送りながらも人に優しかった安寿

因縁の法を超えて力強い生き方が絞り出され
映像の美しさがずっと続く
一つ一つの場面に気迫がある
それだけの哀しみが描かれている
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