エアール

チャイナ・ムーンのエアールのレビュー・感想・評価

チャイナ・ムーン(1994年製作の映画)
3.5
若かりしエド・ハリスとベニチオ・デル・トロのコンビ、
そしてなによりも、こんときの美しさが半端じゃないマデリーン・ストウ 笑
ストウが気になる方は是非。

さてと…
刑事だって人間であります。
愛する人のためとなれば、真逆の道を突き進むことも大いにあり得るわけでして…。

殺人課の刑事コンビ、その道のベテラン カイルと若手 ディッキー
ーーカイルにハリス、ディッキーにはベニチオが扮します。

観察力に優れ、持ち前の直感も駆使し
些細なことから糸口をつかんでは
見事事件を解決に導く有能な捜査官 カイル、
刑事の仕事は彼にとってまさしく天職であります、と。それなのにまさか
一人の男の死と男の妻に関わったばっかりに悲しい運命を辿ることになろうとは…。


とある日
仕事終わりにバーに立ち寄るカイルとディッキー。すると店内で
気品さと美貌を兼ね備えた女性、レイチェルと出会うカイル。
レイチェルを演じたストウの透明感といったらね…上でも書きましたが
とてつもないんです、これが 笑

独り身のカイル、
レイチェルを一目見た時から心を奪われ
彼女を口説き落とそうと積極的にアプローチ。
レイチェルもレイチェルで
カイルの誘いを断りはするものの、まんざら嫌でもなさそう。

そんなレイチェルですが
実は既婚者、子なし。
夫は大手 ムンロー銀行を取り仕切る ムンロー
ーー美しい妻がありながら
秘書らしき女性と浮気を繰り返すしょうもない男です。
加えて短気のようで、妻に対し暴力を振るうこともしばしば
ーー浮気性にDVのコンボですから、救いようがありません。
そんな夫と1つ屋根の下で生活を共にしてるので万一の時の備えにと
護身用の拳銃を購入するレイチェル。

バーでの出会いから、ちょくちょく会うようになるレイチェルとカイル。
二人の距離は縮まる一方で、
旦那と別れて一緒になろう、とカイル、
愛のない結婚生活に終止符を打つことを決意し、カイルからの申し出を快諾するレイチェル。
荷造りを済ませて
いよいよ家から出て行こうとしたところで
暴力夫の登場であります。

何を言っても聞く耳なし、力任せに迫ってくるし、
もうこんなの耐えられないと、身の危険を感じたレイチェルは手近な引出しの中に隠していた銃を取り出し、銃口を夫に向けて
引き金を引く。

夫を射殺後、
いち早く現場へ駆けつけるカイル、
正当防衛が成り立つだろう…とひとまず署へ連絡しようとするカイルをレイチェルは止める
ーー使用した銃は非正規のルートで手に入れた未登録の銃であり、夫が死ねば莫大な遺産が手に入ることや他、計画的犯行とも受け取れる厄介ごともあって…
ーーわたしを愛しているのなら
署には連絡しないでどうにかしてわたしを守ってほしい、と…。
こうして正義感溢れる有能な刑事が共犯者へと堕ちていく。

職業柄、これまでにいろんな事件に関わってきたカイル、
今の状況を冷静に分析し
遺体と夫の車の処理、
凶器の始末、
徹底したクリーニング、
アリバイ工作、と細心の注意を払いながら
この不測の事態に対応していく。

練った計画通り
旅行先から自宅へ戻ったレイチェルが夫と連絡が繋がらないってことで
行方不明の連絡を署にするのだが…。

家宅捜査、
事情聴取、
夫の車、湖畔に沈めた遺体の発見、
遺体や現場の壁にめり込んでいた銃弾の旋条痕がカイルが所有する銃のそれと一致してしまう、
矛盾する証言、
レイチェルに関する、男絡みの噂、
信用したくても信用することが出来ず、自分は嵌められたのだろうかと自問、
こんな時に限ってディッキーの頭は冴えわたり、
真相に迫りつつじわじわとレイチェルとカイルを追い詰めていく…。


出てくる人物の大半が嘘つきであります 笑
誰が味方で、誰が敵なのか、
誰が誰を利用しようとしているのか、
隠れた人間関係と切ない結末。

まあ要はお金と愛ですね〜
エアール

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