エアール

ビューティフル・カップル 復讐の心理のエアールのレビュー・感想・評価

3.5
人には”決断する時”というものがある。
赦しを経て前に進むのか、過去と向き合い続けるのか、、
前に進むことはもちろん大切なこと。
そうだと理解していても
どうしても見過ごすことができないことだってある。
終わらせなければ…進めない。。


いや〜久々に心がエグられるお話でした。
複数の国による合作のリベンジ・サスペンスということで
本作の主人公は教職員の夫婦、マルテとイヴ。
休暇をとりバカンスを満喫するため
2人はマヨルカ島を訪れる。

現実を忘れて夫婦水入らずで滞在を楽しむ2人でしたがとある晩
宿泊先である海辺のコテージで
突如酒に酔った少年2、3人に襲撃される。

金目のものを渡し抵抗をみせるも虚しく
リヴはマルテの目の前で
少年のひとりに凌辱され
マルテも手酷く殴られてしまい
2人は心身ともに深い傷を負ってしまうのであった。


その事件から2年の月日が流れ、、
イヴはセラピーに通いながら気持ちを整え
なによりも夫婦の強い絆によって
あの忌まわしい記憶を乗り越えようとしていた。
ここまでつらい時は幾度とあったが
それでも徐々に立ち直り
今のこと、未来のことを考えられるまでに回復していた。

しかしそんなある日
マルテは友人と組むバンドのライブ演奏直後に
ライブハウスを出た通りの角にあるケバブ店で
偶然にも見かけてしまう、、
主犯の少年が恋人といる姿を…


その瞬間に
マルテの中で”なにか”が崩れてしまう。
反射的に彼のあとを尾行するマルテ。
まるで事件など
何事もなかったかのようにかわいい恋人と寄り添い
平穏な生活を送る少年の姿を見て
マルテのなかで
フツフツと沸く怒りと復讐心。
こうして復讐に生きる日々がはじまるのだが…


事件で心に傷を負った夫妻と
事件の主犯である少年、そしてなにも知らない少年の恋人。
それぞれの立場もありますが
展開されていく物語を追うところ
やはり夫妻への共感が強いですね。

復讐はなにも生まない、
戒めとして親しい誰かにそう言われたとしても
もし同じような被害に遭い
同じような立場になったとしたら、
やはり考えてしまうのではないか。。
観終えても決してスカッとはしない、
複雑でどんよりした余韻が残る作品です。
ですがドラマとして見応えはあると思いますので
気になった方は是非。
エアール

エアール