MasaichiYaguchi

ゲキ×シネ「薔薇とサムライ」のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

4.1
この作品は「劇団☆新感線」の熱狂の舞台を実況放送するかのように映画化したもの。
芝居やコンサートは「生」で味わうのが一番だと思うが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」で劇場やホールは閉鎖され、予定されていた公演も中止や延期になって当分駄目だと思う。
だからアーティストや俳優、お笑い系を含めた人々はインスタライブやYouTube等のSNSで活動している。
その様な動画配信サイトの映像と比べると本作のは「生」の臨場感があり、出演者の細かい表情や衣装のディティール、舞台装置等がクリアに見える。
元々「劇団☆新感線」のチケットは入手困難な上、これ程鮮明に観るには前方の席ではないと無理だと思う。
更に主演の二人、古田新太さんと天海祐希さんが汗だくで演じていたのが、本作を観て初めて分かり、その輝く汗に感動と美しさを覚えた。
実際の公演は三部に分かれているが、本作では15分間のインターミッションを挟み、上映時間197分の二部構成になっている。
三時間以上の上映時間だが、歌あり、チャンバラあり、ギャグあり、感動あり、メリハリの効いた構成でテンポ良く展開していくので長く感じない。
またファッション面でも天海祐希さんが様々なコスプレ、パイレーツファッション、舞踏会ドレス、女王様コスチューム、宝塚時代を思い出させる「オスカル」風衣装等で登場して観ているだけでワクワクします!
そして「劇団☆新感線」の看板役者・古田新太さんがどっしり存在しているので、舞台に一本芯が通って作品がブレず、硬軟、緩急演じ分け、壺を押さえた演技で上手い!
脇を固めた出演者達、藤木孝さん、山本太郎さん、森奈みはるさん、神田沙也加さん、橋本じゅんさん、高田聖子さん、浦井健治さん、栗根まことさん等が、夫々の個性や持ち味を発揮していて良いアンサンブルを奏でる。
観客を心から楽しませることに徹した舞台の映画化作品は、一時自宅を劇場空間にしてくれます。