ノルウェーの作家イプセンの戯曲が原作、舞台をオーストラリアに置き換えた物語。
つつましく幸せに暮らしていた写真家の夫ハロルド、妻ジーナ、娘ヘンリエッタのもとにハロルドの友人グレゴリーが訪れることで始まる悲劇。

決して豊かとはいえない暮らしの中でジーナは懸命に働くが、ハロルドもハロルドの父も、グレゴリーもグレゴリーの父も、自分のことばかり主張し、自分だけが苦しいと、ジーナやヘンリエッタを顧みず。
弱さの上に、嘘によって守られていた幸福が、真実を追求する者の介入によって消え去る。
真実によって人が幸福になるとは限らない。
相手も見ないで振りかざした正義が、最もか弱い存在を苦しめる。

黙して家庭を守ろうとする働き者の妻ジーナを演じるリヴ・ウルマンと、プライドが高いけれど頼りない夫ハロルドを演じるジェレミー・アイアンズが素晴らしかった。
当時36歳のジェレミー・アイアンズが髪を乱して目に涙をためる美しさったら！！
あと。予想以上に重く鬱な物語に、流麗すぎるテーマ曲があってないけど耳について離れず。
戯曲が家にあったので今度読もうと思う。

イプセンの戯曲よりも台詞を減らし、
映像で伝える演出。悪くない。