アトミ

幻想殺人のアトミのネタバレレビュー・内容・結末

幻想殺人(1971年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

88点

列車の個室車両の長い廊下。
キャロル・ハモンドは逃げるように走る。
と、突然廊下は乗客でいっぱいに。
その乗客をかき分けるようにして廊下を歩いて行く。
と、今度は突然建物の廊下に変わり、人混みは全裸でイチャつくヒッピー男女に変わる。
キャロルは彼らをかき分けるように進んで行き、たどり着いた赤いベッドの上で元女優エロエロ金髪美女ジュリア・デューラーに毛皮コートを脱がされ、愛撫され、エクスタシーを感じる。
そんな夢を毎晩のように見るキャロル。

実はジュリアはキャロルの住む高級アパートの隣人。
夢の中の彼女はストリッパーか娼婦の様。
キャロルにとって堕落と悪徳を表し、隣の部屋は悪の象徴。
キャロルの良心は下品な彼女の生き方を否定するが、その奔放さに憧れ、惹かれている。
その不安が心の葛藤を生み、同じ夢を見せるのだと精神科医のカー博士は結論づけた。

その夜。
ジュリアの部屋ではヒッピー達を集めたラリラリ乱交パーリーが行われており、キャロルの部屋までどんちゃん騒ぎ音が漏れていた。
選挙に出る程の有名な弁護士でキャロルの父ブライトンは弁護士の旦那フランク(2人は事務所を共同経営)に旅行にでも行けばキャロルのノイローゼも治るかもと提案したが、娘ジョーンは試験中&ブライトンの選挙活動を手伝うために今すぐは難しいと答えた。

翌日。
事務所のブライトンのもとにスミス夫人と名乗る女からおかしなTELがかかってきた。
父はフランクの浮気を心配したがフランクは否定し、ハーバービルへ一泊の出張に出た。

夜。激しい嵐。
フランクは愛人宅へ向かい熱いキスを交わした。


そんな中。
キャロルはまた同じ様な夢を見る。
が、今回は少し違った。
列車の廊下に戯れる全裸の男女をかき分けながら進むと椅子に座る青白いオッサンと腹から内蔵が飛び出してる青白い女。キャロルスクリーム。
と、大きな白鳥に終われ、屋敷の庭を逃げるキャロル(キャロルの部屋に飾られてる絵画)。
と、赤いベッドの部屋にパンイチで現れたジュリア。
キャロルは彼女をペーパーナイフ(キャロル愛用。柄が彫刻)で刺した。
そしてコートを脱ぎ、赤いベッドに倒れ込んだジュリアを2度刺し、殺した。
顔も体も目も白い2人のヒッピー男女がその光景を2階バルコニーから笑顔で見ていた。
キャロルは逃げた。


その内容を聞いたカー博士はジュリアを殺すことで悪徳に惹かれる部分を消し、キャロルの葛藤が解消されたと考えた。
絵画も解放を意味している。
そしてバルコニーの男女は犯罪の目撃を望んだキャロルの一部であり、障害を排除した証明の象徴。全て良い結果をもたらすと結論づける。


土曜日。
ジュリアの死体が見つかる。
月曜の深夜から火曜の朝に殺害された模様。
部屋からはヘロイン等が見つかり、ジュリアはドラッグの常習者であった事もわかる。

刑事はキャロル家族、秘書デボラにも聴きこみ調査。
が、キャロルはジュリアをよく知らないし話せる事がないと黙り込む。
が、死亡推定時刻が月曜の深夜と聞き、フランクがハーバービルに行った日だと気になった。

キャロルが刑事から質問を受けていると連絡を受けたフランクは心配し自宅へ戻る。
と、3階のゴードン氏から死体の側にコートがあったと聞かされたキャロルが狂ったように毛皮コートを探していた。

昼食も喉を通らないキャロル。
事件に対して神経過敏になっていたキャロルに新聞を見せないようにする家族。
が、ゴードンからのTELで事件は「キャロルの夢と同じ殺害方法」だったと知りペーパーナイフを探す。が、ない。
パニくるキャロルを落ち着かせたフランクは捜索中のジュリアの部屋へ行き、コービン警部に現場を見せてもらう。
現場にはキャロルのペーパーナイフとキャロルの毛皮コート、白いスカーフが。
落ち着かないキャロルも現場に。
そこで「バルコニーの柵」が夢と同じだったことにも気づいたキャロルは気を失ってしまう。


犯人が逮捕された。
ハリー・スミスが自白。
が、ちょいちょい話が噛み合わない。
凶器は短刀。てかただのラリったジャンキーだった。


そんな中。
キャロルは街でバルコニーの2人に似たカップル(赤毛とジェニー)を発見。ジョーンと後を追う。
バスでたどり着いた屋敷。ヒッピーのたまり場だった。
話をする決心がつかないキャロルに変わり、ジョーンが2人に話を聞く。
帰ってきたジョーンは2人からは情報を得られなかったと報告。
ジュリア宅に来てたのをキャロルが見かけて記憶に残ってたのだろうとジョーンは推測した。

そんな中。
警察ではペーパーナイフ等からの指紋採取の他に当日は雨だった事から「足跡」に着手。
が、赤いベッド周辺には一切足跡がなかったことから「犯人はアパートの別の部屋から侵入した」可能性を考え、住人を調査。
ブランドン刑事はハモンド宅へ。
容疑者である男の写真を配り回収(指紋採取)。
ペーパーナイフの指紋とキャロルの指紋が一致。

刑事はキャロルは容疑者として逮捕された。
キャロルは弁護士である父ブライトンに泣いて無実を訴えた。
ブライトンは保釈金を払いキャロルは保釈される。
キャロルにはジュリアを殺す動機がない。
これが裁判に勝つ武器に成りえた(過去の二重人格事件も踏まえ)。


そんな中。
フランクはキャロルが診療所で療養中をいいことに昼間から愛人宅で交尾。
愛人はデボラだった。
それを何者かがカメラに激写していた。

聖ポール診療所。
庭でくつろぐキャロル。
と、男ヒッピー(赤毛)が現れ、キャロルを追いかける。
キャロルは必死に診療所の中に逃げ込む。
が、どの部屋も鍵がかけられていて中に入れない。
かかってない部屋を見つけ入ってみると、そこには犬が数匹、生きたまま腹を裂かれ採血されていた。
キャロルは気を失う。

目を覚ましたキャロル。
医師曰く、赤毛のヒッピーはどこにもおらず幻覚だと説明された。

そんな中。
ブライトンの元にフランクの不倫写真が送られて来た。
フランクは2年前からの関係だとブライトンに説明した。
ブライトンか仮説を立てる。
フランクが浮気を知ったジュリアに脅された。立派な動機。そしてキャロルの犯行に見せ掛けフランクがジュリアを殺害。
キャロルは見た夢をメモるようカー博士から言われておりその存在はフランク、ジョーン、デボラも知っていた。
その夢メモを読み、その通りに殺害した。と。

ジュリアの部屋。
刑事を交えブライトンはこの仮説を説明。
全てが説明つく。
このままではフランクが犯人となってしまうため、フランクは夢メモを探す。
が、ジョーンが捨てたと話す。


そんな中。
ブライトンはキャロルを診療所からグリーンヒルの別荘へと連れて行く。
乗馬するキャロルのもとに女ヒッピー(ジェニー)が現れた。
ジェニー「犯人が知りたいなら今日の16時、20ポンド持ってウェンドン通りの教会に来て」

そんな中。
何者か(ヘルメットとゴーグル、革ジャン、革パン姿。アップの顔を見るに多分ジョーン)がバイクでどこかへ向かう。

そんな中。
キャロルはタクシーで教会へ(何者かのバイクが停めてある)。
中に入ったキャロルは何者かに閉じ込められてしまう。奥へと逃げ込み柱の陰に隠れるキャロル。
そこに現れたナイフを持ったバイク野郎(明らかに男に変わってる)。
キャロルはドアを見つけ、外に脱出。大聖堂へ逃げ込み、パイプオルガンの中に隠れる。
が、スイッチにもたれかかってしまいオルガンの音が鳴ってしまう。
気づいたバイク野郎はパイプオルガンの中へキャロルを追う。
キャロルは階段を上へと逃げる。
屋上の屋根裏部屋へ逃げ込みロックをかける。
と、手探りしているとコウモリの死体を触ってしまいスクリーム。
その声に驚いたコウモリ達がわちゃわちゃキャロルに向かって飛んでくる。
その騒ぎでバイク野郎にバレて扉をガチャガチャされる(釘がどんどん緩みロックの土台ごと抜けて行く)。
キャロルは屋根の上に出る扉を見つけそこから外に出ようとするが部屋に入ってきたバイク野郎に左腕をガッチリ切られてしまう。
が、何とか屋根に逃げ出したキャロルだったが気を失う。
バイク野郎が近づく。
が、間一髪神父がライフルで威嚇射撃したためバイク野郎はナイフをすて逃げる。

その頃。
ジョーンは赤毛と待ち合わせのため廃墟へ。
と、ジェニーがいた。
ジョーンはジェニーに金を払い情報を得た。

その頃。
キャロルは病院に運ばれた。
コービン警部は診療所での赤毛は存在したんだと、キャロルに護衛を付けなかったことを悔やんだ。

その頃。
ジェニーからキャロルに関する重大な情報をゲットしたジョーンはTELではあれだからとフランクをリッチモンドパークへ呼び出す。
そこに確たる証拠があり、フランクの無罪を証明できる。と。
その2人のTELをもう1台のTELからブライトンは盗み聞きしていた(キャロルの着替えを取りにたまたま来ていた)。


リッチモンドパーク。
ジョーンの死体が発見された。

そんな中。
赤毛が容疑者として逮捕された。
ヤクが切れて禁断症状の赤毛はヤクを与えてもらい全て自白。
ジョーン殺害、キャロル殺害未遂を認めた。
が、ジュリアの件は別だった。
犯人はジュリアに脅迫されていたがフランクはされてないとコービン警部はブライトンに報告した。
コービン警部はほぼ犯人の目星がついていた。
が、分からない矛盾が1つあった。
コービン警部はカー博士をジュリアの部屋に呼んだ。


ジュリアの部屋。
コービン警部は赤毛とジェニーに話をさせた。
赤毛「古い劇場へ向かうジェニーと俺を2人の女(キャロルとジョーン)がつけてきた。到着するとジョーンが来てキャロルに見覚えがあるか聞いた。ジェニーと俺は嵐の夜ジュリアの部屋で見たと答えた。がヤク漬けだから確証はない」と。
コービン警部は「あの夜」の話を質問。
赤毛「多分バルコニーに登った。朝に帰ったがジュリアの死は知らない。つまりは俺とジェニーかも。だから2人を口封じ」と。

と、ブライトン刑事から一報。
ブライトンが銃で自殺した。
メモには自分がジュリアを殺したと書かれていた。と。



ブライトンの墓石の前に立つキャロル。
コービン警部か現れ、推理を始めた。
全てはキャロルが仕組んだことだと。
キャロルとジュリアはデキていた。
ジュリアはスミス夫人に成りすましスキャダルに気をつけろと忠告。
その場にいたキャロルはジュリアに金を払うと約束する。
ジュリアはノイローゼを装い、診断カー博士に精神障害だと思い込ませた。
ハプニングは殺害現場を赤毛とジェニーに見られたこと。
が、結局ラリってて覚えて無かったがジョーンが殺されてしまった。
真実にたどり着いてしまったブライトンはキャロルを庇って自殺した。と。

キャロルはそのままパトカーに乗り込み、墓地を後にした。





というお話。
中々しっかりしたサスペンスミステリー。
「そっち?」ってちょっと騙されちゃうちょっとしたどんでん返し。
良い。
アトミ

アトミ