囚人13号

キングダムの囚人13号のレビュー・感想・評価

キングダム(1994年製作の映画)
4.8
うおおおお!!!なんだこれは…。エレベーターを昇降装置ではない不穏な密室へ仕立て上げるべく、広大な天井裏からの俯瞰ショット(言うまでもなくこれは霊の主観である)/それを見あげる老婆の表情とを繋いでしまった時点で勝ち確。
二話以降は霊も老婆も歩き出し、クロスカッティングで院内の歪な人間模様も活写されるためただの移動手段となっていくが、常に三〜四つの思惑が交錯する様相を収める荒いビデオカメラ画質は感光が鈍く、画面が霞んでドキュメンタリー風。

そもそも病院という空間自体の光源が悉く人工であるため、本作における"太陽の不在"然り、台詞以外に昼夜を説明する手段がないため作品内に脈打つ時間はそのどれもが隔絶された恐ろしい無時間性の上にのみ成立している。
夢も幻影も手術も全てが異質に流れる時間感覚の内部から捉えられ、しかしいずれも干渉し合うどころか因果関係が全く生じていないことこそホラーなのだ。

最終四話は話が大きく動く回だったが、唐突な書類食べ食べとか短小とか夢精⇒正夢とかくだらないシーン(実はこれがめちゃくちゃ助かる)が多くて良い。薬指と小指にしか見えん皿洗いコンビは幕間役かと思いきや、厨二病っぽい言い回しで展開を予告してくれるゲームマスターやんけ。馬鹿にしてすいません。
とりあえず終わり方がキモキモキモすぎて続きが気になりすぎる!!!世界一悲惨な出産。
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