世界のタナカ

モッシュピットの世界のタナカのレビュー・感想・評価

モッシュピット(2016年製作の映画)
5.0
こちらも友人(ていうか親友)企画の映画祭にて。まったくノーマークだったのだけど、これは傑作。まだ知られていない人々の情熱をだれかに伝えるのがドキュメンタリーであるならば、こんなに正しいフィルムはないと思う。

世間的には無名のバンドのドキュメンタリーであり、東京アンダーグラウンドシーンの記録。バンドもスタッフもファンも、カメラはすべてを並列に捉えようとしているように思う。ようするに、音楽になにかを夢見た人々の物語、ってこと。知らないだれかの情熱が、こちらにまで伝播してしまう。

フロアの最前線(モッシュピット)を俯瞰で捉えたショットがすごくて、あれは発明だと思うんだけど。『エメラルド』って曲のシークエンスなんて、シーンの熱そのものが可視化されたよう。『ロックンロールの恋人』って曲がとにかくいい曲で頭からはなれない。


監督の岩淵さんはハマジムを辞めてしまったらしいけれど、いやいや、これは続けていくことについての物語じゃないですか。もっともっとこういう映画を撮っていってほしいです。
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