世界のタナカ

スパイダーマン:スパイダーバースの世界のタナカのレビュー・感想・評価

4.8
主人公マイルスの部屋には誇らしげにチャンス・ザ・ラッパー『Coloring Book』のポスターがかざれている。それだけでもうね。ぼくはヘッズじゃないけれど、ニッキー・ミナージュやリル・ウェイン、Vince Staplesがならんだサウンドトラックのヤバさはわかる。ポップのド真ん中を目指してるってことなのだろう。

映像はとにかく圧倒的。ほとんど全編にわたり観たことのないものが観れる。昔、セガがつくったゲームに『ジェットセットラジオ』ってやつがあって、アレをマーベルがとんでもない予算とセンスで映画にしたかのような。あのときのセガ、まちがってなかったぞ(あんまり売れなかったけど)。

歴史を乗り越えて、その先へ向かう。というマイルスの意思は、革新的な映像そのものによって、作り手の声と重なる形でこちらに示される。なんてスマートなのだろう。あと、ぼくは細田版『時をかける少女』の信者なので、「自分の意思で跳ぶ」ってことを映画でやられるともうダメです。”運命を受け入れます!”、そう思ってしまう。

ハンパではない3D効果を体験するためにも、できれば劇場でやっているうちに。親切なことに「説明しよう!」がなんどもあるので、シリーズ未見の方でもきっと大丈夫なんじゃないでしょうか。ニュー・クラシックの誕生だと思う。
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