Asino

天空のからだのAsinoのレビュー・感想・評価

天空のからだ(2011年製作の映画)
4.2
「天空のからだ」
* 映画としてはとてもよかったのですが、子猫たちが本当に信じられないくらいひどい目に遭うのと、13歳の少女の裸体の扱いについてはちょっとどうかと思うので、その点は最初に注意喚起だけしておきたい。

アリーチェ・ロルヴァケル監督の長編デビュー作を日本語字幕付きで見られる幸せを堪能しました。イタリア映画祭さまありがとうございます✨

13歳のマルタが、物心ついてから育ってきたスイスから、母親の故郷であるレッジョカラブリア(イタリアのつま先)に越してきたところから始まる。

母親は不規則な仕事で疲れているし、少し年の離れた姉は、環境の変化に不安定になってる妹の気持ちに寄り添わず、かなり当たりがきつい。
後半彼女が偶然出掛けることになる小旅行の顛末が、なんというか胸がすくというか思わず笑ってしまう感じで。そこはとても彼女の作品らしい(不敬な)ユーモアに満ちてて好き。
とはいえ(ロルヴァケル監督の他の作品同様)、魔法のように問題が解決したりはしないのだけど、マルタはどうにかこの状況を乗り越えていくんでしょう、と思える終わりかただった。

マルタが通うことになる、堅信式の準備のための日曜学校みたいな教室が主な話の舞台なのだが、教会の司祭もこの教室をしきっている女性も本当の意味での信仰には興味がないように見える。
選挙を前に教会は組織票をまとめる組織に過ぎないし、司祭は自分の昇格のための根回しに余念がなく、カソリック信徒としての教育を施すための場所は、基本的なお祈りに出てくる「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」という言葉の意味すらろくに教えない(ただ暗記させるだけ、という感じ)
レッジョカラブリアという場所は南部の社会的問題が街の作りにまで影響してしまっている土地として悪名高いけれど、確かに物語の背景に見える景色もイタリアの美しい町並みのイメージとはほど遠く殺伐としている。

この後の2作に比べれば比較的テーマがわかりやすく描かれている分、(すごく宗教的要素というか教会批判色が強いとはいえ)むしろ見やすいのかも。(冒頭の注意は必要ですが)
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