天空のからだの作品情報・感想・評価

「天空のからだ」に投稿された感想・評価

birichina

birichinaの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

13歳の主人公が堅信式(cresima)を受けるために教義の勉強に教会に通う期間に体験する出来事や心情が丁寧に描かれていた。
レッジョ・カラブリアの小さな教会はかなり退廃的な状態。教会にはキリスト像らしきものがなくてネオンの十字架があるだけ。神父(「ゴモッラ」の洋裁師役の俳優なので、その印象が強くてどうしても善人に見えない)は出世のことばかり考えているようで、そのためか選挙の票集めにも加担しているし上層部のご機嫌取りに必死。信者の女性たちが中心になって堅信式(13~15歳くらいの少年少女が受ける式)の準備をすすめているが、子どもたちのモチベーションはとても低い。子どもたちに迎合するために教義をクイズ式で教えたりポップス系の歌にして教えたりしているのは涙ぐましい努力だが、熱意がエスカレートして無理やり教義を覚えさせようとするあたりは宗教の怖さを感じた。
故郷の廃村に放置されている磔刑像を教会に持ってこようともくろんだ神父が、主人公をお供に廃村に向かう。廃村の磔刑像の脚のほこりを主人公が手でなぞってきれいにしてあげるシーンはセンシティブだと感じた。主人公が教えてもらったお祈りのことば「エリ エリ レマ サバクタニ Eli, Eli, lemà sabactani」とはどういう意味かと神父や信者の大人に聞くが誰も答えてくれない。廃村で出会う神父(レナート・カルペンティエリ)にも聞くと、彼はことばの意味そのものではないが「イエスは怒っている、置き捨てられて怒り狂っている Gesù è arrabbiato, abbandonato, grida furioso」と言う。確かにこの磔刑像は長いこと放置されたあげく海中にザブーンなので、かなり怒っていらっしゃるだろう。

主人公の姉はかなりのイジワルさんで、主人公に頻繁に辛辣なイヤミを言う。ショックなことがあって髪の毛を切った妹に「目立ちたがり屋ね」とか。でも最後に磔刑像を教会に持ってこれなかったのが主人公のせいだとウワサするおばさんたちに「妹のことを悪く言ったら私が承知しない」的なことを言ったのでホッとした。母親にかわいがられている妹に嫉妬しているけど家族愛はあった。
母親は唯一の主人公の味方で、誰も食べようとしない主人公が作ったお菓子をおいしいと言って食べたりしてくれる。思春期にこういう味方が一人でもいると救われる。

誰かに見られていたら絶対にしないことが描かれたシーンが印象に残った。
・主人公が入浴するシーンで膨らみかけた自分の胸をじっと見る。
・神父が脱いだばかりの自分の靴下の臭いを嗅ぐシーン。
・神父のことが好きで彼の世話をする信者の女性が、神父の家へものを取りに行った時、神父のベッドに突っ伏してみるシーン。
・猫を捨ててくるように頼まれた男が、袋に入れた猫をアスファルトに打ちつけて文字通り袋叩きにするシーン。

主人公と神父が磔刑像を取りに行く途中に立ち寄るレストランの女主人の息子役で「ドッグマン」のマルチェロが出演していた。

原題の意味がよく分からず気持ち悪い。Corpo celesteは「天体、惑星」の意味だけど、それだけではないはず。天の(神の)体だから、あの磔刑像のことを示唆しているのかなどと考えているのだが。。。
eigajikou

eigajikouの感想・評価

4.5
アリーチェ・ロルヴァケル監督、
長編第一作からず抜けた才能!
mossan

mossanの感想・評価

2.0
登場人物が好きじゃない...

もはやこの作品が好きじゃない。

教会関係者って、善人なのかなと思うけどそうでもないよね。
なんで神に仕えてるのかしらと疑問に思う。
肇

肇の感想・評価

3.0
波間を漂う磔刑像のカット。空気感を叩きつけるための映画にしては静かすぎるし魅せ方が素朴すぎる。
シャチ

シャチの感想・評価

3.0
教会という閉鎖的で独自のコミュニティが発達している中に身を置く少女の話


物語としては派手な動きもなく淡々と進んでいく感じなので退屈と感じる人は感じるかも?

自分はあまり宗教的なことに関わり合いがないので田舎の教会や寺院が実際にこんな感じなのかはわかんない?

とりあえずニャンコが可哀想…叩きつける必要はなかったやろ…
Essini

Essiniの感想・評価

3.8
『幸福なラザロ』のロルヴァケル監督のデビュー作。この頃からもう作風の透明感がすごい。スイスから南イタリアへ越してきた、一少女の地域での所在のなさという日常と、キリストや信仰をもつ者の孤独が結びつけられている。表面上は少女と日曜教会での出来事が淡々と描かれているだけなので説教臭くはなく、日常に根付く聖性をさりげなく映す監督の手腕はすごい。フェリーニがヘリに吊るした磔刑像を瓦礫の中から救うのがソレンティーノ、海から突き落とすのがロルヴァケル、いらん事に気づいてしまった…。
紆余曲折の感情を経て海に(入水に)向かう映画は全部最高なのでは…?
カツマ

カツマの感想・評価

4.0
晴れることのない疑念。それは思春期の繊細さの前で立ち尽くすように吐息する。固定概念化する信仰、信じることの意味。これは『信仰』をベースにして、少女が彷徨い続けたトンネルの中を可視化したかのような物語。例え、その光の先に海があっても、目にしなければその美しさは分からない。

長編第2作『夏をゆく人々』、第3作『幸福なラザロ』とその評価は高止まりすることなく、いまや、30代にしてイタリアを代表する監督となったアリーチェ・ロルヴァケル。彼女がこの二つの作品の前に撮っていた長編デビュー作がこの『天空のからだ』である。2012年にイタリア映画祭で公開された本作が、今回、イタリア映画祭2020のオンライン配信という形で復刻上映されることとなった。この映画がカンヌを皮切りに各国の映画祭で好評を博したからこそ、アリーチェ・ロルヴァケルの今があるのだろう。

〜あらすじ〜

13歳の少女マルタは、家族と共に10年ぶりにスイスからイタリアへと移り住んできた。大好きな母は仕事に忙しく、意地悪な姉は事あるごとにマルタのことを執拗に叱責してくる。そこで思春期真っ盛りのマルタを周囲に溶け込ませようと、母はマルタを町のキリスト教会で行われている日曜学校へと通わせることにした。
教会には政治家と癒着している司祭のマリオと、彼を支えんとする熱心な女性信者サンタがいた。マルタはサンタが教鞭をとる授業を受けるようになるも、そのキリスト教の教えに困惑し、どうしても身が入らないでいた。
教会は実はバタバタしている最中。何しろ、司教を招いての大イベントが目の前に迫っており、その準備に大忙しの状態だったからだ。マルタもイベントに向けて歌の練習をさせられたりするのだが、サンタの伝えるキリスト教の教えには違和感ばかりが募っていて・・。

〜見どころと感想〜

心も体も急な変化を遂げている13歳の少女。そんな彼女の目線に移るキリスト教会への違和感と、アンチテーゼとも取れる信仰の矛盾に真っ向からクエスチョンを投げかけている作品である。宗教法人のかなりデリケートな部分に刃を突き立てているせいもあり、公開当初は様々な議論や憶測を呼んだそう。崇高な教えのもとに発足したはずのキリスト教も教える者によっては歪曲され、間違った解釈へと辿り着くこともある。その危険性を分かりやすく描いており、聖書の拡大解釈の危険性にも言及している。

また、キリスト教へのアンチテーゼと共に、少女の成長物語としての太い軸を走らせており、そこにあるのは周囲から浮いているように見える自らの姿。そして、まだ見ぬ外の世界への憧れの視線。断続的に差し込まれる遠景での街の風景が、巡り巡ってこのストーリーの核になっているので、静止する細かいカットにも注目して見てほしい。

アリーチェ・ロルヴァケルは一貫して人々の生活に根ざした風景を切り取る映画を撮ってきた。今作でもシチリアの北東に位置する街を舞台に、決して裕福ではない家族模様と、どうしようもなく感情的になってしまう普通の人々を時に愛らしく、時に憎々しく描いている。そんなイタリアの田舎街の風景に垣間見える少しのドラマにスポットライトを当てながら、余韻を置き去りにするかのようなラストカットが我々の心の奥にストンと残る。音のないエンドロールがいつだって相応しい、そんな映画を今後も撮り続けていってほしいと思う。

〜あとがき〜

イタリア映画祭のオンライン復刻上映でアリーチェ・ロルヴァケルのデビュー作が上がってきたので、意気揚々と鑑賞しました。あまり喋らない主人公、家族のざわめき、殺伐とした日常、などなど、監督独自の個性はすでにこのデビュー作から発揮されていたことが分かりましたね。

終盤に登場してくる司祭の言葉がこの物語の大きな核になっていて、これこそが本来のキリスト教の教えとして的確なのでしょう。教えが歪曲された場合、その元来の教えはもう別物にすり替わっていて、人間の欲望を後押しする道具でしかないのかも。そんなことを思いながら、何を信じるにせよ、それは人次第なのだな、ということを痛感させられる作品でした。
富井

富井の感想・評価

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複雑で不純な大人や教会に対する不信感を抱く少女マルタ
しかし純粋無垢な子どものままではいたくない、という矛盾

この映画の人間関係や全体像が集約されたオープニングが秀逸!
世界が一気に広がるラストも良かった
山

山の感想・評価

4.0
不信徒としての聖体拝受。地/血に触れ、生/性に触れ、海へ向かう事。姉の描写が素敵。不埒な意図が無いと分かってても、神父と二人きりなの気が気でない。
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