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オープン・ユア・アイズのnaoのネタバレレビュー・内容・結末

オープン・ユア・アイズ(1997年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます


端麗な容姿で自由な恋愛を楽しみ、裕福な生活を送る青年セサル。しかし彼の人生は交通事故で一変し、顔は醜く変貌する
そしてセサルは自分の顔に絶望し、顔を隠すと共に、本当の自分をも隠す様になっていくという物語


本作は錯乱を引き起こす時系列入れ替えと、顔の変化にさらに仮面の存在が加わることにより、物語が非常に複雑で緻密に構築されている
そして、この作品には単なる夢からの脱却だけではなく、新たな人生を踏み出す一歩という意味を含んでいるのかなと個人的に感じました。

裕福な暮らし、端正な顔立ちという仮面で自分の内面を隠し続け、それが奪われたことによる阻喪

自分の内面に自信が無いから、仮面で自己を隠してしまう。この事実に気づいた時、これ以上にない美しき世界で、物語の登場人物が立ち並ぶ中、セサルはビルから飛び降りる。

このビルから飛び降り新たな人生を踏み出そうとする一歩は、同時に自己の確立というものを暗示的に示しているのではないかと思いました。

自分は他の誰でもない、まぎれもない自分自身である。つまり自分を発見することが自己の確立
主人公が自分の内面を知り、受け入れることは、ある種の自己を確立したとも言える。

こうした、自分に自信を持つことが自己の確立には必要なのだとする暗示的なメッセージからは、なんとなく"自己愛"というものを強く意識させられました。

圧倒的なプロットの組み立てとその伏線の処理をしつつ、謎を謎のままで残しているため後味が悪いかもしれないですが、捉え方によっては様々な解釈ができる良作です。
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