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シュトロツェクの不思議な旅のmiのレビュー・感想・評価

4.5
主人公のブルーノの纏う圧倒的な孤独感というか、職業俳優にはない独特の空気感がストーリーとマッチングしすぎてる。
国境は物理的に越えられても、それ以外に越えられない壁(言語の壁も)はいくつも存在し、自由を夢見たのも束の間、その夢の裏側には巧妙に仕掛けられた切り捨ての実態があるのだと、リアリティをもって教えてくれる。
歯車が狂い出したところから加速していく負の連鎖。競売人のクセが凄すぎて笑っちゃうよあんなもんってとこから一気!!
強盗→買い物が道隔てただけの最短距離で繰り広げられる異質さに痺れるし、原西のギャグみたいに規則正しく動き続ける鶏がカオスすぎる。
この監督動物の撮り方がちょっと変態的すぎて凄くいい。
無人で回り続けるトラクターと、くるくる回り続ける鶏、ループしながら動き続けるゴンドラ。
すべて一つの輪になってて円環状のなかを漂っているだけなのかもなぁ。
とにかくこの主人公あって、このストーリーの物悲しさは助長される。ブラックだけどめちゃくちゃ面白い。
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