「少林寺」で悪役・王仁則を演じた于承惠主演。はつらつとして屈託のない若い僧が活躍するあちらと対をなすような、影のある渋い中年剣士が誤解や矛盾を背負いつつ壮絶な運命に向き合っていく湿っぽさがいい。自分の剣の技で民衆を助けたいという思いは当の民衆によって否定されてしまうのだ、まさに剣をもって起こる戦いのために土地を追われ生活を奪われているのにと…。
とはいえそういう話だけで済まさないのがやはり中国の映画のいいとこで、私の好きなウザかわいいムードメーカー兼トラブルメーカーが主人公の後をついてまわる。演じているのはウージンのドラマでちらほらみる淳于珊珊でありま〜す、いいじつにいいよ。こいつ最後も超いい。
いうまでもなくアクションはすばらしくて、最後の剣聖と呼ばれた于承惠の技はけっこうな歳だと思うのに驚くほど軽やか。戦のシーンも期待を裏切らない迫力だし熊欣欣まで出てきて大喜び。斜視の剣士という役でおもしろキャラ扱いなのはいかにも古いが、罠に嵌り視力を奪われた主人公に弟子入りする流れはいい（いいしか言ってない）。
柔和っぽい顔をした段王とのラストバトルも熱く、激しい濁流におののく。撮影怖かっただろうなー。と、まあ隠れた名作であることは確かだけど日本語はVHSどまりのようで残念すぎる。ただ私ていどでも大まかなことは分かるので80年代武侠功夫電影好き中国語学習者はみてほしい（ピンポイントだなー）。
