泡沫

レッド・ロケットの泡沫のネタバレレビュー・内容・結末

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

なんだかモヤモヤする映画だった。何がってこのカスみたいな男を今ひとつ嫌いになれない自分に…。なんなんだ。
このマイキー、ポルノ時代は女たちを搾取してたっぽいし、金がなくなって妻の家に転がり込んだくせに自分が稼いで経済的に依存されてるとなれば態度を一変させて家父長制丸出し昭和のおやじみたいなことを言い出す。気が弱くてぼーっとした、でも軍人に憧れてるようなロニーには散々ウザい自分語りをしていざとなったら切り捨てる、とにかく口先ばかりの不誠実な男。なぜ「オーラル賞」を男優がもらうのか?とストロベリーはジューンと同じ反応をしていて、都会に出て歳を重ねたりすればやがて彼女も思い通りになんかならなくなるのだろうにマイキーは意にも介さない。わかりやすくするためにサクセスストーリーという紹介がなされていて、あとはみなさまのご想像にお任せって感じのラストだけど事故の件も結局くすぶっている。
もうもうと煙を吐き出す工業地帯に面したせっまい住宅で主人公も妻もテレビばかり見ていて、こんなアメリカ映画ある?とおもうも、マリファナは星条旗の描かれた紙に巻かれそこかしこにハッキリとトランプの気配がするのであった。Make America Great Againに希望を見出した少なくない人々がこういう層、みたいな報道がよくされたけどほんとだったろうか。もちろんそういう人も侮蔑的には描かれていない。あーそう言ったらトキシック・マスキュリニティの描き方も「Barbie」とはずいぶん違っている。でももちろん男性監督が傷の舐め合いをしているとかではまったくなくて、穏やかな告発という雰囲気すらある。もっとも役者さんを監督が映画館でスカウトってのなんか同じような構図では…とはちょっと思ってしまった。まあとりあえず誰に対しても蔑視がないのがベイカー監督の信用できる点ではある、嘲りという感情はいろんな意味で危ないと思うので。ただこの映画をそういう受け取り方していいのかわからない、よくわからないまま書いたらまとまりがつかなくなっちゃった。時間置いてまたみてみようかな。
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