くりふ

アタック・オブ・ザ・ジャイアントウーマンのくりふのレビュー・感想・評価

3.5
【空にそびえるつりがねの乳 】

ひさしぶりにみなおしてしまったら、しあわせなきもちになりました。

GTSという略語がある位、由緒ある巨大娘/Giantessジャンル。その歴史に燦然と輝く!…と思うが要するにおっぱい特盛の馬鹿映画なわけですね。

オリジナル『妖怪巨大女(1958)』は(当時)未見です。初回リメイクの『ダリル・ハンナのジャイアント・ウーマン(1993)』は殆ど忘れましたが、暗~いフェミニズムに脱力した憶えがあります。

比して本作は、のー天気な開放感が素晴しい!彼方まで馬鹿だけど。安いしねー。日本だと河崎実作品に近いんではないだろうか。

原題は『ATTACK OF THE 60FT CENTERFOLD』。お話は、「PLAYBOY」誌のパロディですね。CENTERFOLDは雑誌中央の見開きページ&登場するモデルのことですが、主人公がそれを目指すわけです。

「PLAYBOY」同様、年間ベストのモデルを選ぶコンテストが、本作の「プレイシング」誌でも、ヒュー・ヘフナーみたいなオヤジの海辺の私邸にて行われ、その決勝戦が舞台となります。

登場する候補娘が初めから3人だけなのは、勝ち抜いた結果なのでしょう。出演費用のことをツッコムのは大人気ないというものです。

主人公エンジェル(演じるJ・J・ノースは当時31歳!)は焦った結果、美を磨く、とある禁断の手を使い過ぎて身長18メートル超のナイスバディへとハニーフラッシュ!バカでー。

もぉ呆れるしかありませんが、J・Jちゃんに愛嬌あるし、玉のようなおっぱい大安売りだしで眼は一切離せません。

巨大娘を手に入れたニセヘフナーも馬鹿です。彼女を使って儲けようと考える、トンデモ企画がいやー…ホント馬鹿なんですよバカ。

そんな「PLAYBOY」帝国への皮肉を効かせる一方、あらゆる巨大生物映画へのオマージュに溢れています。そしてマスコミの暴走と、美しさへの強迫観念、というテーマを、米国らしく巨大さ、に象徴させたところは社会派です…たぶん。

エンジェル「これプリプリしてる?」
医師「絶対プリプリ」

爆笑しながらも深遠。この辺ですね、この辺から必見バカ描写の連続です。

本作のフレッド・オーレン・レイ監督、こんなんばっか100本以上撮ってるんですね。まさしくアメリカの河崎実だ。

ノンクレジットですが、製作総指揮はロジャー・コーマンで、意外と安定した仕上がりなのは納得です(凄く底の浅い納得)。

年中空気漏れみたいな演出も、慣れちまえばへっちゃらさ。

巨大フェチ(Macrophilia)向けにまとめながら、おっぱいへの愛情に溢れています。巨大なそれをツンツンとか、谷間ダイブとかで心から遊んでいます。トランポリン代わりにして空飛んじゃう、とかも欲しかったなー。

SFマニアなら知っている、フォレスト・J・アッカーマンが、蝋人形館のドラキュラ役でカメオ出演しているのも隠し味ですね。

<2014.2.3記>
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