ハリウッドバビロンなゴシップ感、ダグラスサークやりましたな雰囲気に加えて現行パートも素敵。中途半端なポルノもあってたまらない。男優さんたちガンガン脱ぎまくっている。ハリウッドスター・ダイナイーストの死後、関わった男たち友人たちのさまざまな回想。弁護士の息子が「お父さんが立ち役？それとも女役？どうなの？」って激昂するシーンとかバカバカしさもふんだんに、でも全編に優しさが溢れていてほんと素晴らしい。同時にソフトエロタイムも欠かさず挟み込んでいく。バランス最高。ウルトラヴァイオレットが演じてるレズビアンのデザイナーと撮影所で身の上話する場面も素敵だし、特にボクサー兼運転手のパートみてたらもう泣いちゃう。ダイナ邸に飾ってあるダイナさんのポスター欲しい。いつかどこかでノーカット上映ありますように。ハ〜リウ〜〜ッド♪

70年代初頭のトランス映画。
男性であることを偽りながら、ハリウッド女優として成功したダイナの半生を描いている。

ダイナのセクシュアル・アイデンティティが、ゲイなのかトランスジェンダーなのかは不明瞭。
時代を考えれば致し方のないところだが、幸運と生活への必要性が相俟って、ダイナの秘密は次第に肥大化していく。

生活感のないセット、安っぽい照明はいかにもB級自主制作映画という感じだが、デティールは悪くない。
ダイナが事情をカミングアウトした、少数の人々との関係性を描く手法は客観的で時にコミカルですらあり、明らかにゲイ・ピープルが制作へ携わっていることがわかる。
特にダイナと恋人とのエピソードは、マイノリティ同士の運命の出逢いが優しい視点で描かれており、力強いメロドラマになっていた。

客寄せのためか、男×女の濡れ場も多く挿入されているのだが、東映のエログロ映画や日活ロマンポルノ、そしてピンク映画とは明らかに制作姿勢が異なる。
ゆえにLGBT当事者にもおすすめ可能な作品。
また登場する男優が粒揃いなだけでなく、全員まる裸になる場面があるので、無修正版でぜひ再鑑賞したいところ！