桔梗F

バクステール/ぼくを可愛がってください。さもないと何かが起こります。の桔梗Fのレビュー・感想・評価

4.1
擬人化したブルテリア犬の視点で語られる異色のサイコ・サスペンス。
偏屈な老女にもらわれたブルテリア犬のバクステール。
どうしても彼女を理解することのできない彼は日に日にストレスを抱え…

犬目線で描かれる珍しい映画(*^^*)
動物目線で描かれる映画はロベール・ブレッソン監督の『バルタザールどこへ行く』(ロバ目線)などもあるが、雰囲気は大きく異なる。
鬱展開なのは共通だが( ;∀;)

いきなり脱線するが、スティーブン・キングの小説ワンワンパニック『クージョ』も犬目線のパートがあり、狂犬病に感染したわんこの精神が病気でだんだん崩壊し、苦悩する様を描いた名作だったが、映画化され『クジョー』になったら普通にワンワンパニック映画になっていた(苦笑)
それは許すが、小説で死ぬはずの人が生き返るハッピーエンドにしたのはコーヒー吹いた(*_*;

話を戻すが、本作はブラックユーモア満載で人間の諸問題を風刺している。強いて言えば、
『我輩は猫である』(夏目漱石)をブラックにして、サスペンスタッチにしたような(^^;

映画内でバクステールは老婦人→若い夫婦→ナチに傾倒する少年の順に飼われていく。
なぜ飼い主が次々かわるかはネタバレのため秘密に♪

映画のテーマは「壁」
犬と人間の壁。登場人物それぞれも家族や世間に壁を築いている。
結局はそれによって悲劇的な結末をむかえるわけだが(T-T)

「かわいいわんこ主人公の映画だよ」と騙して嫁に観せたら、「ひどい…」とへこんでいた(*^^*)

グロはとくにないが、動物愛護上、現代の欧米では製作不可能かと思われる…

偶然かどうか不明だが、ここで名前を挙げた『我輩は猫で…』『バルタザールどこへ…』『クージョ(小説版)』そして、本作。
動物目線で描かれる物語はすべてろくでもないことになる(゜ロ゜;

ちなみに本作の主人公のブルテリア犬はフレンチスプラッター『ベイビー・ブラッド』にカメオ出演している(笑)10秒ほどだが(^^;

かなりの良作だが、怪作でもある賛否両論映画(;´_ゝ`)
桔梗F

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