明石です

無邪気な悪魔におもちゃが8つの明石ですのレビュー・感想・評価

2.8
人里離れた雪山の別荘で、突如現れた5人のサイコキッズが大人たちが殺していく話。70年代の子供怖いホラー映画。邦題の「おもちゃが8つ」というのは、殺される大人の数が8人という意味(秀逸ですね)。作品自体は良作とは言い難く、正直全然ハマれませんでした。

特にこれといった理由もないまま子供が集団で暴徒と化すあたりは『ザ・チャイルド』的怖さがありますが、本作の暴徒キッズは生まれながらのサイコパス。私的にはそこが1番のネックだと思う。たとえば『危険な遊び』のように異常な子が1人いて、他はみんな正常だったらリアリティがあって怖いけど、この映画の子供はみんな頭がおかしいから、やりすぎ感というか、作り物感が出てしまってる気がする。やっぱり怖さとリアリティは、切っても切り離せないものだと思う。

テイスト的には『シリアルママ』のような、あまりシリアスではないポップなサイコ映画。終始お伽話のような軽めのBGMが流れていて、怖さはほとんど感じない。これは私的にかなり残念ポイントなのだけど、別荘に集まった大人たちの関係性が複雑すぎる。人間関係の描写もあまり上手とはいえず、結局最後まで誰が誰なのかよくわからなかった。あと彼らが揃いも揃って愚かだから、殺されても全く感情移入できない。

痴呆ぎみの男と痴女ぎみの女が絡み合ったり、また大人の女同士が意味不明な喧嘩を始めたりと、何のためにあるのかわからない(尺稼ぎのためとしか思えない)シーンが多い。そして極めつけは殺人の場面をスローモーションにする見せ方。独自の編集技法ということもあるいは可能かもしれませんが、これは普通にスベってると思う。等倍速でちゃんと表現できなかったから、無理くりスローにしてみたようにしか感じられない。それから無駄に長い濡れ場シーンも尺稼ぎとしか思えない、、とにかく細部が色々と残念でした。

浴槽にピラニアを放り込む殺し方はけっこう好きだったけど、90分間の尺でハマれたのはそこだけ。

なんだか、子供がおもちゃで遊ぶみたいに大人を殺す映画を作ったら受けるだろうな…という感じの安易なアイデアから始まり、あまり考えを重ねることなく作られたような映画でした。結局のところ、子供がおもちゃで遊ぶみたいに人を殺すのは怖い!という言葉以上の何モノでもないのよ。邦題とジャケットのセンスが良く、期待していただけに肩透かし喰らっちゃった。
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