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愛のそよ風のarchのレビュー・感想・評価

愛のそよ風(1973年製作の映画)
3.1
モテモテでまだ現役だけど結構歳なおじ様とヒッピー文化にとっぶりな小娘の恋愛青春。

前提として歳の差恋愛ものが苦手な自分は終始苦笑いだったということは記しておきたい。
この映画はクリント・イーストウッド監督作品三本目の作品で、初のクリント不在の映画であり、また最初の『恐怖のメロディ』と似た男女関係を題材にしながらも本作は全くバイオレンス要素がない。(途中にイーストウッドらしき人影があったが)ここにはクリント・イーストウッドこそ被虐加虐の原点にあり、監督の強い意志を以て自分を痛めつけていることが読み取れる。

イーストウッド不在ではあるが歳の差恋愛と聞くとイーストウッドの恋愛観が反映されているのように感じてしまい、ウィリアム・ホールデンはクリント・イーストウッドの代わりにしか見えない。ただそれ以上に当時まだ若かったはずの彼がこの頃から歳の差恋愛についての考えが定まっていたと思うと面白い。

この映画は『恐怖のメロディ』と繋がる節が多々ある。特にヒッピー文化を取り入れたストーリーという点が気になる。『恐怖のメロディ』での長い青姦シーンはインタビューによるとヒッピー文化へのカウンターとして描かれていたらしいが、本作においてもヒッピー女子が脱ヒッピーしていく話にも見えなくはないので、当時ヒッピー文化末期の時代に対してのイーストウッドの考えが反映されていたのかなと考えてしまった。
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