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パーフェクトブルーのarchのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
3.6
面白い。
自己同一性が失われていく元アイドルのパラノイアを様々表現、モンタージュを駆使して、描き出していく。

どんどん「本当の自分」が分からなくなっていくことの恐怖を描いているわけだけど、それがメディア媒体(映像、雑誌)から出力されるイメージ、或いはファンの心象やブランディングによる虚像に限らず、アイドルや女優にとってある種の
自己防衛でもあるとして描かれているのが良い。つまり関心はアイドルや女優といった「望まれる姿を演じる」職種に向けられる。
特に本作で恐怖の対象として描かれているのは《男性の眼差し》だ。演じられることを矯正させる目線、その視線によって彼女は演じている自分と本当の自分を見分けがつかなくなっていくのだ。(殺される男は皆目を潰されている)
それがインターネット上で作り上げられていく自分像の描写と絡められていくのも先見的に感じるし、映画やドラマが作り出すペルソナに対する関心は、非常に楽観的な形で『千年女優』に表出していると思う。



若干醜い姿をしている=悪、みたいな単純化された対立構造が透けて見えるのは気になったけど、実際現実とそう変わらないというのが世知辛いね…
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