櫻イミト

浅草紅団の櫻イミトのレビュー・感想・評価

浅草紅団(1952年製作の映画)
3.5
川端康成が昭和初期の浅草の風俗文化を見聞録風に記した「浅草紅団(くれないだん)」を原案に映画化。「浅草紅団」とは原作中に登場する浅草の不良少年少女集団だが映画には出てこない。京マチ子演ずるヒロイン紅龍子も映画オリジナル。

京マチ子と乙羽信子(どちらも当時28歳)がそれぞれの一座の花形を演じ、浅草のヤクザとの揉め事を切り抜けていく古き良き人情活劇。1950年代初頭のにぎやかで迷宮の雰囲気を残す浅草の風景も楽しい。

本作をキッカケに川端康成の原作を知った。石井輝男監督が偏愛し、江戸川乱歩も影響を受けたとの事。~関東大震災以降の都市の街並、浮浪者、乞食、娼婦、ポン引き、踊子、見世物小屋、エログロ・ナンセンスなどの美と醜が混在する風俗が抒情的な目線で描かれている~とのこと。ぜひ読んでみたい。
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