猫脳髄

若妻・恐怖の体験学習の猫脳髄のレビュー・感想・評価

若妻・恐怖の体験学習(1972年製作の映画)
3.3
ジミー・サングスター監督・脚本のハマー・フィルム産スリラー。少年たちの合唱を背景に、郊外の自然とカントリーハウス風の学校にパンした先に、いきなり首吊り死体がブラリ、というオープニング。続いて、新婚の若妻(これはタイトルに偽りなしだった(※1))が、郊外に引越し前の住まいでいきなり暴漢に襲われ、それがまたイタリアン・ジャッロ風の黒ずくめときている。

先行していた夫に迎えられた先はなんとオープニングの学校で、校長はピーター・カッシング。しかも休暇で生徒はいないはずの教室から歓声が…と、クロスオーヴァーなテーマ設定で、展開を予想させない出だしはよかった。

しかし、特に主人公である「若妻」役ジュディ・ギーソンの力量不足やおざなりなカメラワークのせいか、いまひとつサスペンスが盛り上がらない。重要な役どころのはずのカッシングもある時点から急に登場しないまま(※2)ラストを迎え、どこかで予算がショートしたのかと疑ってしまう。筋立てはよかっただけに惜しまれる。

※1 邦題をつけたのは「女子大生・恐怖のサイクリングバカンス」(1970)、「女子大生 悪魔の体験入学」(1973、未見)と同じ担当者だと睨んでいる
※2 中盤のヤマ場で、蜘蛛の巣状にヒビ割れた眼鏡姿のカッシングが慇懃無礼に主人公に迫ってくるのは、ややコメディじみている
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