ニューヨークでカメラマンとして頑張っている私、彼のビジネス会食のために駆り出されたり、信仰宗教にハマる親友は教祖に暴行されたり。彼氏と距離置いて男ふたりはべらせベッドイン。仕事に遊びに忙しい自分にも恐ろしい事件が起こるが、心新たに仕事に打ち込む。ここまででお話は終わり、なんだけどセリフなしでトッドラングレンをバックに自分と別れた彼氏のそれからの生活が結構細かく演出される。ああいいなあこういうの、って思いながらみているとそれぞれに恋人連れのふたりが映画館で鉢合わせる。看板には"THEY ALL LAUGHED" わーん「ニューヨークの恋人たち」じゃないかと思わず泣くー。そーいやプロデューサーはボグダノビッチだったわ。まんまとやられた。主演のローラハリントン、その友人たちがほんと素敵。ニューヨーク行きたいです。そのラストの生活やってますシーンで、ローラさんがキースキャラダインの結婚式ぽいのをカメラ取材していた。あれは実際の結婚時なのか？

「次は"ラブ・カルト"を取材してきて」
「今どきチャールズ・マンソンのネタなんか珍しくない」
「あら、文鮮明に人民寺院…まだまだホットなネタよ」
…その通りです。とりわけこの国では。

後に『ヴァレー・ガール』『ランブリング・ローズ』を撮るマーサ・クーリッジの長編デビュー作。(公開年はヴァレー~の翌年だが、撮影はそれより早い1年前。)
いっときvimeoに海賊版がアップロードされてたらしいが現在は削除されており、自分はVHSで鑑賞した。

トロントの都会で暮らす、駆け出しのフォトジャーナリストの主人公アン。
今日も、VOGUEに売り込むためのフォトシュートをし、ヴィーガン歌手のスキャンダル写真を激写し、その合間に恋人とデートし、友人と夜遊びし、目まぐるしい毎日をおくるシティガール。
編集長から指示されたカルトの取材が忙しくなるにつれ、恋人とのすれ違いが生じ、さらに友人のモデルが件のカルトに引きずり込まれたことを知り、救出しようとするが。
…という筋はまあどうでもよく(よくはないけど)、随所にはさまれるヒロインの恋と欲望の冒険がいちばん見どころだ。

友人たちと男性ストリップクラブで気炎を上げるのはまだ序の口。レンズを覗いて写真を撮るという仕事柄、被写体に抱く幻想が画面に現れては消えていく演出が所々にはさまれる。
他の方の指摘もあったが、全体にFemale Gazeが意識され、欲望の主体としての女性たちが描かれるのは、当時も今も珍しいことだと思う。

で、ヒロインの冒険心が最も高まるスリーサムの場面。パーティでのナンパから始まり、コントみたいな会話が交わされ、いざベッドイン。それら一連の流れがあまりにスムースで、いかにも愉しげで、何なら私も混ぜてほしい🤝こんなにハッピーな3Pの場面は、『彼らについて』以来だな。
(ちなみにナンパ男たちの片割れをやってるのは、現在リバイバル中の『ローカルヒーロー』ことピーター・リーガート。)
で、ヒロインが今の自分たちの写真を撮ろうとして、カメラをセットするけど何だかんだで失敗してしまう展開は、何だか示唆的…かもしれない。視線を投げる主体と投げかけられる被写体には、同時になれないということなのか。

もうすこしfemale gazeについて勉強してから再見したい。ローラ・マルヴィとか読めばいいのかね。