ヨウ

71フラグメンツのヨウのレビュー・感想・評価

71フラグメンツ(1994年製作の映画)
3.8
唐突に示される終末の日。そこに辿り着くまでの群像。老若男女それぞれに纏わる何気ないエピソード。特筆性があるかと言われれば答えに困る。だが恬淡とした運びの中で確実に不和が生じている。移民問題、家庭の歪み、親子の諍い、虚しい交友関係。。何ら温かみも感じられない人間模様。愛も情も喪失しているような表情が心をズキズキと痛ませる。慈悲の欠片もないあの運命の瞬間は些細な人間の悪業の積み重ねが招いた帰結なのだろう。そう考えると起こるべくして起こってしまったと諦観するしかないし、ハネケの洞察力に首を垂れる他あるまい。感情の氷河期3部作の締め括りはマクロ的な視点で社会の機能不全を暗喩する凄まじい内容であった。
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