菜南子

71フラグメンツの菜南子のネタバレレビュー・内容・結末

71フラグメンツ(1994年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

初ハネケ監督作品。

71フラグメンツという題名の通り、71シーンの長回しで綴られる銃乱射事件が起こるまでとことの顛末。

世界中で起こっている戦争も虐待もテレビの中の出来事で、生活は常に単純でテレビのような面白さはない。鬱憤が溜まったり、悲しくなったりする。
しかし、そのテレビの中の出来事も世界のどこかでは実際に起こっている現実である。フィクションではない。
その賽が振られたとき、何をしてようとどんな人生を生きていようとそれは一瞬にして変わる。賽が振られる前の動機がたとえわずかな可変性のあるものだろうと積年の恨みだろうと、加害者と被害者の人生のコンパスは狂って戻らない。

最後のシーンも、客観的に踏み込める以上の距離には一貫して踏み込んでないのが良かった。ほとんどのシーンは固定カメラでひたすら動作が映っているのみ。映像として映っていないからこそ頭にこびりつく。人間はないという想像はある状態を考え、その逆を想像する以外できない。
菜南子

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