Jimmy

花影のJimmyのレビュー・感想・評価

花影(1961年製作の映画)
3.5
この映画、『花影』と書いて「かえい」と読む川島雄三監督の後年の作品。主演は池内淳子、とても美しい。
描写の雰囲気が川島雄三監督による若尾文子主演『女は二度生まれる』に似ている感じであり、この作品も同じ年(1961年)に公開されている。翌年(1962年)、『雁の寺』・『しとやかな獣』という川島雄三監督×若尾文子主演の三部作のうち2作品が公開されており、川島監督がノリに乗っていた頃の作品である。

銀座のバーの女と彼女をとりまく男たち、夜の街に生きる女の恋愛・哀しみ・死生観を描いたものであり、かなり深刻な展開になっていくが、東宝スコープのカラー作品で描かれる池内淳子と桜の花は輝いて見える。

物語は、銀座のバー「トンボ」で働く池内淳子は、その美貌ゆえ、多くの男達に惚れられる。佐野周二、池部良、有島一郎、高島忠夫など…。しかし、男達は女性を利用する輩ばかり…という女性にとって哀しい話。

同じ時代のホステスもので、同じ脚本家=菊島隆三による『女が階段を上る時』(成瀬巳喜男監督×高峰秀子主演)などと比べると、物語展開がやや単調なのが惜しい。
カラー映画ならではのキラキラした池内淳子が見られるだけに、なおさら勿体ない気がした。
……とは言っても、それなりのクオリティを持った川島雄三監督作品であったと思う。
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