Tully

アメリカン・クライムのTullyのレビュー・感想・評価

アメリカン・クライム(2007年製作の映画)
5.0
実話を元にした作品です。この映画を見るとこういったすべての負の感情が沸々と湧き上がってきますが、絶対に目を背けてはいけない、むしろこれをみて私たちは何をすべきか、どうあるべきか考えなくてはいけない一作でしょう。あらすじとしては、貧しい一家に生まれた姉妹。親の仕事の都合で見知らぬ人の家に預けられることとなった。最初はなんとなく上手くいってはいたけど、ひょんな些細なことで家族の反感を買うことになった姉。お仕置きとしてその家の母親からお仕置きを受けることになった。もちろん立場上逆らうことはできない。それをいいことにお仕置きはエスカレートしていく。最初はその母親からの虐待だけだったけど、それを見ていたその家の子供たちも面白くなって、一緒に虐待をすることとなる。立場的にどんどん弱くなっていく姉はどんどん虐待を受けいじめを受け悲惨な有様。妹も逆らうと酷い目にあうと思い何もできない。ついには近所の子供たちもおもしろがって虐待に加わる始末。一体彼女が何をした?何もしてない。彼女の人権・尊厳はどこに行った?そんなものそこには何もない。何にこの悔しさをぶつければいいのだろう。そもそも家に預けた両親か、その家の母親か、調子こいて虐待に加わったその家の子供たちか、変だと気付きながら助けなかった近所の人か、自分の保身のために何もしなかった妹か、そして何もできない自分自身か。結局虐待をしたその家の母親含め子供たちにも厳しい法律の罰が与えられたわけだけど、そんなの意味ない。彼女は生き返らないし、あの時味わった怖い苦しい痛いつらい思いは絶対に消えないし消せないから。絶対虐待なんてしてはいけない、もし周りに危ない人がいたら虐待する方もされる子供も助けなきゃ駄目だと思わされます。無関心が一番の罪だと感じさせられる作品でした。
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