Yoshishun

リストラ・マンのYoshishunのレビュー・感想・評価

リストラ・マン(1998年製作の映画)
3.8
"労働社会に疲れた者たちへ"

会社への不平不満に血が上った3人の社員が資金強奪作戦を決行!
今勤めている会社に何かしらのストレスがある人向けのブラックコメディ。
カルト的人気を誇る『26世紀青年』マイク・ジャッジ監督作。

プログラマーとして日々業務をこなすピーター。部長に提出するためのレポートを作成するものの、1つのケアレスミスに対し8人もの上司に叱咤され、会社からの待遇に不満を漏らしていた。恋人アンの進言により、催眠療法士に治療を施されたピーターだったが、変に暗示が効いてしまい、翌日から上司の催促を無視して無断欠勤してしまう。しかし、その率直さがコンサルタントの目に留まり、何故か昇進することに。それに対し、良き親友でありピーターよりも会社に貢献していたはずのサミールとマイケルが新体制により不当に解雇されることを知る。会社からの不当な扱いに気付いたピーター、マイケル、サミールは協力して資本金の長期に渡る略奪を計画するが……

会社への不平不満が溜まっているユーザーなら共感しやすい内容。
ちょっとのミスでめちゃめちゃに叱ってくる上司、休日出勤当たり前、パワハラの黙認等、勤務先での体制に苛立ちを隠せないピーターは、腐った労働社会に対する代弁者といっていい。催眠に掛かってからは、上司からの圧力に屈することなく平然と不正を成し遂げてしまうのだが、むしろ会社の方が異常にみえてくるのが不思議なところ。

そして、ピーターら3人だけでなく、身につけるバッジの数で昇進が決まる環境で働く者、数年前に解雇されておきながら無給で働かされる者、年功序列の陰に潜む老害社員。登場するキャラクターの殆どが癖が強いものの、こうした労働体制の闇に縛られ続ける人々が存在する。

予想通りではあるものの、痛快すぎるラストには労働に疲弊しきった者たちへの過激なエールになると思う。犯罪なので実践してはいけないものの、似たような鬱憤を晴らすという意味では本作はオススメかもしれない。
Yoshishun

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