【発掘】
最近、個人的に「ホラーものが観たい熱」が高まっていて、AmazonPrimeやNETFLIXなんかでもついついジャンルで検索してしまう。
で、AmazonPrimeに表示されるポップなジャケットアート(?)を見つけ、そしてそれに輪をかけて嗅ぎ取る絶妙な「午後ロー臭」に何故か心が惹きつけられた。
それがこの「ワルプルギスの夜/ウルフVSヴァンパイア」です。
ぶっちゃけて言うと内容はユッルユルです。
「何世紀も封印されていた吸血鬼の墓が、そんなピクニック程度の散策で見つかるもんかねぇ!?」
「棺、開けるかねぇ!?」
「素手でミイラを触るかねぇ!?」
「十字架、抜くかねぇ!?」
(それぞれキム兄風のツッコミで)
もう息子の幼稚園のお遊戯会並みにハードルを下げて観たにも関わらず突っ込みどころのオンパレードで、こりゃもしかしたらとんでもない珍作の蓋を開けてしまったのか?という思いが脳裏を過ぎる。
・・・なんだけど。
・・・なんだ?この不思議な感じ。
ヨーロッパの田舎が舞台という事もあって、寂れた修道院や古城などが何度も映し出され何処となく幻想的な雰囲気も漂い始め、また主人公のエルヴァイラとその友達のジェネビーの妖艶な可愛らしさ(美しさ)に段々と目を奪われてしまって・・。
(なんだろう・・・この妙なトリップ感)
思い出した!「死霊の盆踊り」だ!!
いえいえ、決して本作はあそこまで破綻しておりません。
物語も(一応)ありますし、人間と狼男の「許されぬ恋」も生まれます。
そして何故かフワフワとスキップしながら登場するドラキュラシスターズも何度も出て来ます。
かなりすっ飛んだ物語でありながらも、「だってそういうもんだから」っていう強引な説得力で物語は最後まで何とか辿り着きます。
でも嫌いじゃない。
それこそ「フランケンシュタイン」や「ノスフェラトゥ」のようなモノクロホラーから時代が進んで、映像はカラーになり暗闇の中にも色があるという表現まで可能になり、乙女の胸を滴り落ちる鮮血も色鮮やかに映し出せるようになっていく。
まさに色んな意味で過渡期にあったような作品だと思うんですね。
そりゃ、今の技術を基準に物事を見たら「ちゃっち~」ってなりますけど、でも当時の物作りの熱意や創意工夫って逆に今では思いつかないような面白い発想もあって、画面からそういうのを感じたときになんとも愛らしく感じてしまったりすることもあります。
ストーリーも相当すっ飛んでるんだけど、途中からそんなのどうでもよくなっちゃうし(笑)
卒論で「伝説の吸血鬼」について調べるってのも凄いし、それを実際に見つけちゃうのも凄いし、フィアンセがいるのに偶然助けてくれた村の男性に一目惚れして「あなたしかいないの!」ってシャウトできちゃうのも凄いし、結果その一目惚れした男は狼男だったって言う展開も凄い。
もうね、全部に突っ込んでられないくらいに忙しい(笑)
女性に襲い掛かるシーンでは、何故か「ブラウスの前をビリビリ~!」っていうワンクッションを入れてから首を絞める。
特に胸を見たり触ったりするわけでもなく。
(今、なんでブラウス破いたん!?)って突っ込みたくなる。
そういうムダがいちいちツボにはまってしまった。
あ、念のため言っておきますが、別に物語はそれほど面白くはないです(笑)
個人的に楽しんで観たっていう部分での採点なので。
まったりした「午後ロー気分」には可もなく不可もなく程度のお誂え向きな一作でした。