サド和尚

不思議惑星キン・ザ・ザのサド和尚のレビュー・感想・評価

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)
4.6
さすがは、地獄の支配体制をアネクドートで笑い飛ばしてきたお国の人の作品。皮肉を込めるにしてもやり方が一癖も二癖も違います。

モスクワから、あまりにも一瞬にして妙な砂の惑星に来てしまった通りすがり2人と、出会った現地の2人との、故郷への長い変な旅。
やたら耳に残る簡単ながら珍妙な言語、超技術満載なのにガラクタめいている全く謎すぎるメカニック群、人類にはいろいろと早過ぎる人々など、様々な異常が彷徨く奇妙な世界。そんなところに突如放り込まれてしまった通りすがり2人の静かな混迷ぶりに見事にハマる変な劇伴。
当局の追求を煙に巻くためとはいえ、こんな奇天烈世界を構築するとは、作った人の感性はちょっと計り知れないものがあります。

とにかく、どこもかしこも可笑しなところだらけで、終始吹き出しっぱなしでした。
特に、スクラップビルドにしか見えないハイテクなんだかわからん機械のどっかが開閉する時に、蒸気が吹き出たりしてゆっくり開け閉めとかではなく、バターンとかガシャーンとかバゴーンとか無碍に開け放たれり締め切られたりする所は、個人的には最高にドツボでした。

そんなタガが外れた具合がずっと続くのに、所々で情や優しみがあったり、最後の最後は最高にキレイに締めてきたりして、本当になんなんでしょうねこの作品。
クーとしか言えませんよね。
クー!
サド和尚

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