こーた

不思議惑星キン・ザ・ザのこーたのレビュー・感想・評価

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)
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合言葉は、クー(Kuh)!
うっかり押してしまった謎のボタンは、あっという間に宇宙の彼方へと飛ばされる瞬間移動装置だった。
寒空のロシアから、荒れ果てた砂漠のど真ん中へ。
現れる謎の飛行体。檻笑。鼻の鈴笑。そして、クー!
宇宙人、ただのおっさんじゃん……。肥えたからだでちょこちょこと動き回るさまが、妙にかわいらしい笑。
その星はいっけん野放図なようで、でもよくみるとゆるやかな秩序があり、けどやっぱりめちゃくちゃだ!
若いバイオリン弾きは野心を抱いて星の物質を持ちかえろうと企み、おじさんは怒りをとおり越して呆れ果てる。
理解不能な言語体系。意味のある単語はかぞえるほどしかなく、それ以外の感情はすべてクーであらわされる。
さいしょは照れながらも、慣れてくるとノリノリでやっているさまが微笑ましい。
クーに笑い、クーに怒り、クーに泣き、さいごはクーにホッと和む。
なるほど、たしかにあらゆる感情をつたえる魔法の言葉だ。
こんなに不条理な笑いにみちた映画を生みだすロシアという国が、ますます愛おしくなる。
映画館からの帰り道。思わずわたしも言ってみたくなった。もちろん、あの振りもつけて。
クー!