爆裂BOX

ホーネットの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ホーネット(1995年製作の映画)
3.6
南米から北上するキラービーの大群。その通過地点にあるカリフォルニア州の田舎町ブロッサム・メドウがキラービーによる襲撃を受ける…というストーリー。
キラービーと呼ばれるアフリカナイズドミツバチの恐怖を描いたパニックTVムービーです。
襲撃を受け、避難する住民達。果樹園を営むチャド一家は、友人を失った少年トムが一家の息子を連れて果樹園にある巣を破壊したために蜂の群れに一軒家を取り囲まれてしまう、という内容です。
この手の蜂パニック作品では蜂たちにトンデモな属性つけたりしますが、本作に登場するキラービー達は攻撃性は高いですが、「刺して毒を与える」という蜂としては正攻法のやり方で人間を襲うのは逆に新鮮でした。蜂の研究家が主人公達や町の住民に解説する蜂の生態も為になります。あの研究家は主人公達と絡んで一緒に蜂に立ち向かうかと思ったけど、解説だけして前半でいなくなったな。
スケールとしてはかなり小さいもので、結婚式が襲われたりしますが、町中が襲われて大パニックになるようなシーンありません。冒頭の小屋で死んでた人達と保安官以外の死者はカップル二人だけですし。中盤からは主人公一家の家が蜂の大群に覆われて籠城戦に入るので、主人公一家の周りだけで物語展開して終わります。
何といっても2000万引きともいわれる本物の蜂たちを使ったパニックシーンは一見の価値ありですね。やはりこれだけワラワラ大量に現れて人間に群がったり、一軒家の壁などを覆いつくす光景は気持ち悪いですね。結婚式が襲撃されてパニックになるシーンも見応えありました。籠城した一軒家の通風口や窓の隙間からドンドン室内に入ってくるシーンもハラハラさせてくれます。
幼い次女が大量の蜂に刺されてアナフィラキシーショックを起こして「ヒューヒュー」呼吸するシーンや呼吸が止まってしまい、必死で母親が人工呼吸するシーン、主人公達も蜂に刺されて顔が腫れていく所等蜂に襲われる痛々しさと生々しさがリアルに伝わってきます。
籠城した主人公達の攻防も、窓や扉の隙間を塞いだり、厚着して服やスカーフ、帽子で顔や腕覆ったり、煙や水といった実際に蜂が嫌う物を使ったもので、絵面的には派手さはないながらもリアルさと臨場感、緊迫感生み出しています。
若き日のライアン・フィリップが主人公一家の長男のヤンチャな感じの友人トム役で出演していますが、最初の方で犠牲になった友人カップルの敵討ちだと言って主人公の営む果樹園に入り込んでライフルで蜂の巣撃ちまくって蜂たちを怒らせて主人公の家が襲われる原因生み出し、長男が屋根裏で蜂の侵入洗剤水ホースで浴びせて防いでる時に「ホース伸ばしてくれ!」と言われてるのにビビって動かずにいる間に屋根裏の床踏み抜いて落下しちゃって、助けに行かずにクローゼットで泣きじゃくるヘタレっぷり見せてくれます。責任感じて蜂追い払うために主人公と家に残るけど、特に活躍することも役に立つ事もなく最後まで生き残る清々しいまでのイケメンクズっぷり。全然狭ない主人公人間出来すぎでしょ。
長女役でジーナ・フィリップスも出演しています。
リアルさに拘ったからか、最後の解決方法も派手さもなくアッサリ終わっちゃいましたね。
小粒ではありますが、TV映画の蜂パニックとしては十分健闘してる作品だと思います。タイトルはVHS題ですが、DVDの「激痛!殺人蜂・戦慄のパニック」の方が内容にぴったり合ったいいタイトルだと思います。