好きと言っていいでしょう

SPETTERS/スペッターズの好きと言っていいでしょうのレビュー・感想・評価

SPETTERS/スペッターズ(1980年製作の映画)
3.8
バーホーベンが描く、モトクロスに命をかける熱い青春物語です。嘘です、もちろん違います。

この青春の群像劇はバーホーベンしか描けないのは確かで、この映画の前からバーホーベンを高く評価していたスピルバーグは、ルーカスにスターウォーズの監督に勧めていたそうですが、今作で考えをやめたと言われてるらしいです。
確かにオランダからも追い出されるだろうなと思いました。それほど強烈な描写が多いです。日本版は雑なモザイクありますが、実際は何もないみたいです。

この映画の素晴らしいところは対比構造になっていることで、主人公たちの住む小さな街に流れ者のヒロインがやってきて、そこから物語が進んでいきます。

仲良しの3人の男性が、ある事故をきっかけに変わっていきますが、その事故の原因が車からポイ捨てされたみかんの皮が顔に当たって転倒するという唐突で無慈悲な原因ってのもバーホーベンらしいです。

そして終盤にグレート・ウォリアーズ以上に凄惨なシーンがありました。

トラボルタのポスターがやたら貼ってあったり、日本のホンダが出てくるのもびっくりしました。

ルドガー・ハウアーの祝勝会でみんなお祭り騒ぎの中、主人公だけ1人車椅子で去っていく後ろ姿が切なかったです。

ラストで街から車が出ていって街の周りの全容が分かるシーンがありますが、この街と違って高いビルや高速道路が広がっていたのも、閉塞的な主人公の街との対比構造になっていると思いました。