ひでぞう

SPETTERS/スペッターズのひでぞうのレビュー・感想・評価

SPETTERS/スペッターズ(1980年製作の映画)
4.5
 凄い、1980年、同時代のオランダの若者たちの姿を描く。アルコール、セックス、暴力などなど、無軌道で刹那的な瞬間を生きる。そして、自分がどうなるのか、どうしたいのか、その不安や欲望に揺れ動く。自分探しの物語ではあるだろうが、しかし、そこには、なにもない。「青春」という美化されがちな物語に対して、身も蓋もない明瞭さで、事実を対置する。その凄さ、リアリティ。リンとハンス、エフの3人組に象徴される、男性の曖昧で不安な姿、それに対して、現実を見据えて、自己の利益を得ようとするフィンチェの圧倒的な存在感。さすが「女尊男卑」とでもいうようなヴァーホーヴェンの価値観が明瞭に示されている。これは、『ブラック・ブック』『ショーガール』、そして、『エル ELLE』でも一貫して変わらない。
 幸い、英語字幕版だったため、ボカシのない状態で視聴することができた。ボカシがないがゆえに、美化されずに、ハッキリと、この物語の意味が理解される。
ひでぞう

ひでぞう