星降る夜にあの場所で

尻に憑かれた男の星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

尻に憑かれた男(2007年製作の映画)
4.5
傑作★

映画祭で鑑賞した際と邦題が変わっていたためさっきまで(別の作品を探していて、たまたま見付けた)気付かなかった(^_^;)

タイトルでスルーしてしまうと非常に勿体ない作品。
隠喩の使い方(下水、目玉、尻)が絶妙で、奥行きのあるシナリオ。
繰り返される壁づたいに歩く人々の歩く様子と構図に惹き付けられ、その壁の一部に主人公が営んでいる骨董屋の入り口がある。
骨董屋(職場)と自宅とカフェといった非常に限定された空間のみのやり取りの中で、アクティブな演出が施されている。
主人公の闇を抱えた利己的で扱いづらい性格が形成された過程に関して具体的(あえて挙げるなら、父への思慕と飲むべき薬を飲んでいない点)には何も語られてはいませんが、そこには多かれ少なかれ私たちの生活の中で気付かない振りをしてきた普遍的真理がみてとれます。
こんな風に書いてしまうと堅苦しく感じますが、秀逸なコメディ仕立てになっているので先に上げたテーマに気付かぬまま終わってしまう怖れもあるほど笑える魅力的な作品になっています。
他と比べでかなり高評価していますが、順当な評価だと思います。

一般的な商品価値の有無ではなく、自分にとっての有用性で客との取引をしてしまう尻フェチ中年男に興味のある方は必見🍀