イチロヲ

闇のバイブル 聖少女の詩のイチロヲのレビュー・感想・評価

闇のバイブル 聖少女の詩(1969年製作の映画)
3.5
敬虔なキリスト教徒の家系で生まれ育った少女が、初潮を迎えたことを契機にして、トリップ世界に入り込んでしまう。大人の階段を上がる少女を幻想譚のように描いている、ダーク・ファンタジー。原題は「ヴァレリエの不思議な一週間」という意味。

背伸びを始めたばかりの無垢な少女が、夢想世界で「セックスと死」に直面。吸血鬼要素が盛り込まれており、自動筆記法のようなイメージの連鎖を利用している。主演女優の乳首チラ見せテクニックは一見の価値あり。

奥行きのあるフォトジェニックな映像に惹きつけられるが、登場人物が何かしらの行動を起こすたびに、いちいち綺麗な風景の場所に瞬間移動する。そういうところも含めたうえでの、シュールレアリスムであることを念頭に置くべし。

全体的に突拍子のなさが希薄なため、「奇想」を求めている側からすると、弾けそうで弾けないもどかしさが募る。ゴスロリ要素も「言われてみれば」というレベルであり、「ゴシック・ロリータ映画の最高峰」という惹句には首をかしげざるを得ない。
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