今週は東京。
その次の週は広島、山口。
その次は京都と兵庫。
飲み会をするために出張を入れまくり、週末はランニングクラブの人と集って昼飲み。そのせいで父は濃厚接触者となり、私まで出勤停止になってしまった。そんなとばっちりに心底腹が立ったクリスマス。
大阪の感染者数は2千人から1万人に急増したにも関わらず、「もうコロナは落ち着いたから」と遊び歩き、濃厚接触者になっても「どうせ27日から冬休みやし」と能天気。いや、あなたのせいで私は出勤できず、その分稼ぎが減ってるんですけど・・・
3食温かい食事を配膳してもらい、お風呂もタオルも着替えも用意してもらい、自分はのんびりサッカー観戦ですか。
年末年始の繁忙期、コロナにかかりたくなくて外出を控えていた私の努力を一瞬でぶっつぶす父の無神経さに心が荒み、イライラもモヤモヤも加速。
なにか強烈にかっこいいものが観たくなって、TSUTAYAに駆け込みました。
今年の7月、料理をしながら流し見た「フレンチコネクション」。
オープニングからもうバチバチにかっこよくて、これはもう一回ちゃんと観てレビューしないと!と冬まで取っておいたんです。
無印の復刻バターチキンにチーズトーストをつけて食べながら、お気に入りの場面を何度も巻き戻しました。
ブルックリンの街角。
フードカートではあつあつのサンドウィッチ、そのすぐ横でサンタクロースが子どもたちとジングルベルを歌っている。
次の瞬間、エプロン姿の男とサンタクロースがアイコンタクト。
「Freeze!」と叫びながら全速力で黒人を追う。
走りながら脱げていくサンタ帽と白いひげ。
真っ赤な衣装に身を包んでいたのは、麻薬捜査官の刑事ドイルだった。
ある日、ヘロインの大口取引が行われるという情報が入る。ドイルは相棒ルソーとともに捜査を始めるがその取引がいつ行われるのか、尾行しても盗聴してもなかなか尻尾が掴めない。そうこうしているうちに上司から捜査を打ち切れと言われ・・・
寒々しい店先に、ドイルの白い息が舞う。
手袋をはめた手と手を擦り合わせ、革靴で地面を蹴るように足踏みしながら寒さに耐える。通りを挟んで向かいのレストランではフレンチマフィアが豪華なランチに舌鼓。アヒージョに牛肉のステーキ、爛々と輝くデザート。
レストランの窓越しに、冷めたピザを頬張るドイルが小さく映る。
「ほれ、ワインでも飲むかい」と茶化しながら、ルソーは紙コップのコーヒーを差し出す。ドイルは一口二口飲んでから通りにジャッと捨てる。
ベビーカーを押していたお母さんが突然バッタリ倒れる、ショッキングな狙撃シーン。
置き去りになったベビーカーでは赤ん坊が泣きじゃくり、アパートの窓から子どもたちのワクワクした顔が覗いている。
そして始まるのは、列車に乗り込み逃走をはかる狙撃手とそれを車で追う刑事のカーチェイス。
頭上を走る列車内では乗客と狙撃手の攻防が繰り広げられ、車で追うドイルもまた通行人や対向車を避けながら走り続ける。逃げられそうになるスリル、ぶつかりそうになるスリル。このスリルにスリルを重ねた演出にたまらなくハラハラする。
ぴかぴかの高級車を跡形もなく解体したり、特に物語に関係ない通りすがりの人まで躊躇なく殺すフリードキンの潔さがやっぱり気持ちいい。
物語の冒頭、ヤクの売人に「おまえ、ルソーの手をナイフで切ったろ!もうボウリングができねえじゃねえかよ!」と大激怒するハックマンと、こらえきれずに笑っちゃうロイシャー。カメラの手前でピンボケするロイシャーがゆっくりフレームアウトする、あのくだりが何度観てもおかしくて好きだった。
尾行していたドイルにゆっくりと手を振るフランス人オヤジのしたり顔。そして同じ仕草でやり返すクライマックス。
相手が動くのをただひたすらじっと待つ、そのリアリティに惚れ惚れする映画だった。