蛸

フレンチ・コネクションの蛸のレビュー・感想・評価

フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)
4.2
フランスーアメリカ間の麻薬密売ルート=「フレンチコネクション」を追う刑事のお話、と言うとありふれた犯罪映画のようですが、ニューシネマ期の映画とあって(それにフリードキン監督作とあって)かなり挑戦的な作風となっています。
目の粗々しいざらついた映像や、無造作な編集、ドキュメンタリータッチのカメラワークは劇映画である本作を限りなくリアリティのあるものにしています(実際に劇中の映像がニュース映像のように見える瞬間があります)。
ラストの廃墟も含めてロケーションも素晴らしいですね。
映画の前半は刑事たちの尾行や張り込みなどの余りにも泥臭い、地味な捜査によって構成されています。退屈が感じられないのは主人公の刑事ポパイの強烈なキャラクターのおかげでしょう。「正義漢」からは程遠いポパイの執念の行動が見るものを惹きつけます(無茶苦茶な主人公です)。
中盤以降は有名なカーチェイスも相まって手に汗握る展開が続きます。
そこからのあのラスト。
しびれます。
渋すぎます。
ニューシネマ的な無常感が堪らない傑作です。
蛸